日本の貿易収支は、震災後の赤字から回復して6月、7月には黒字になっていた。しかし、8月の貿易収支は、7772億円と大幅な赤字となった。

 原因は、【図表1】から見られるように、輸出が8月に減少した半面で、輸入が継続的な増加を続けていることだ。

生産は回復したが貿易赤字は拡大<br />――大きな曲がり角にきた「輸出立国モデル」

 8月の輸出が6、7月に比べて減少したのは、後で述べるように自動車の輸出が減少したことの影響が大きい。

 輸入が増加しているのは、鉱物性燃料の輸入が増えているからである。

 どちらも、一時的なものだけでなく、構造的要因を含んでいる。これを考えれば、8月の巨額な赤字は、真剣に検討すべき内容を含んでいる。

 そこで、以下では、これについてより詳しく見ることとしよう。

火力発電シフトによる
液化天然ガス輸入の増加

 鉱物性燃料の輸入の状況は【図表2】に示すとおりだ。

生産は回復したが貿易赤字は拡大<br />――大きな曲がり角にきた「輸出立国モデル」

 鉱物性燃料の中で比重が高いのは、原油と液化天然ガスだが、後者の増加が顕著である。