就職活動といえば、エントリーシートや面接といった「中身」の準備についての話が多いが、実はそれと同じくらい重要なのが「見た目」。話している「中身」は評価が高くても、「見た目」の印象のせいで面接に落とされてしまう学生が少なくない。親も知っておきたい最新のリクルート事情を、毎年300人以上の就活生を指導するキャリアデザインスクール我究館 館長、書籍『絶対内定』シリーズ著者の熊谷智宏氏に聞いてみた。

就活生の親が知っておきたい最新リクルートスーツ事情Photo:milatas-Fotolia.com

知り合いの人事や採用担当者に「採用でもっとも重視することは何か」と質問すると、必ずと言って良いほどもらう回答が「一緒に働きたいかどうか」だ。

では、どのような点から一緒に働きたいかを判断しているのかを聞くと、面接で学生が語る「中身」だけでなく、実は同じくらい「見た目」にも注目しているという。

彼らが見ているのは、たとえば次のポイントだ。

・部下として入社してきたときに、新人らしい清々しさを感じるか。
・同僚として、最低限の身だしなみに気を配っているか。清潔感を感じられるか。
・クライアント先に連れて行くときに恥ずかしくない雰囲気を持っているか。

社会人としての最低限の身だしなみを整えられているかも、チェックされているのだ。

今回は、最新のリクルート事情を交えながら「見た目」について、服装を中心に何点か解説していこう。これらは、親の立場からも、教えてあげたりサポートしてあげたりできるだろう。

スーツは最低でも2着

近年では、比較的安価にオーダースーツを作れるお店もあり利用する大学生が増えている。

できることなら2着は買っておきたい。

大学3年生の6月から就職活動がはじまることを考えると、リクルートスーツは約1年間着ることになる。傷みやすい夏場を越えた頃には、よれてきているかもしれない。

就活は終盤に行くほど、重要な選考が待っている。最終面接でヨレヨレのスーツを着ていく、というようなことのないようにしたい。

また、男子はスーツをプレッサーかアイロンをこまめにかけるようにしたい。パンツのラインがきれいに出ているかどうかで、印象はかなり変わる。シワだらけのパンツで家を出ないように一手間かけよう。

シャツは「夏場」を超えたタイミングで再購入を

可能な限り複数枚持っておきたい。

就活生に聞くと、次の3パターンを使い分けているという。

1、「説明会・合同説明会」
2、「インターン・OBOG訪問」
3、「選考」

上から順に使用頻度が多く、シャツは必然的に痛んでくる(特に男子は襟周りの汚れが目立つ)。なので、採用に関わる選考の場面では、着た回数が少ない清潔で白いシャツを着ていくようにしているそうだ。

僕も日々、学生と接しているが、シャツの清潔感次第でかなり印象が変わる。特に夏場を超えたシャツは痛んでいて汚れている可能性が高い。涼しくなってきたこのタイミングで再度購入を検討したいところだ。

優秀な学生がしているネクタイの「使い分け」

意外と無頓着な学生が多いが、意識している学生は相当気を配っている。

お店で10本以上は自分の首もとに当ててみて、印象がどう変わるかをチェックしたい。そして、勝負の日は「赤」、第一印象はさわやかに「青」など、自分なりのイメージを持って使い分けたい。

社会人になると当たり前の話だが、就活中はネクタイをつけることに、まだ慣れていないため手を抜きがちだ。こちらも、親だからこそできるアドバイスがあるだろう。

また、学生によってはコーポレートカラーを意識して、企業ごとにネクタイの色を使い分けている強者もいる。賛否両論だが、そういった細部にまでこだわる姿勢自体は良いのではないだろうか。

それぞれ、高価なものを持つ必要はないが、清潔感という点はすべて注意を払っておきたい。今までの経験からも、第一志望に内定していく学生はやはり見た目にも細かく気を配っている学生がほとんどだと確信している。

就活をしている子どもが、これらの点で抜けているものがあれば、社会人の先輩として、ぜひアドバイスをしてあげたいところだ。