安倍政権の「民進党パクリ政策」も源流は自民党の中にあった

 10月25日に投開票となる総選挙を安倍首相は「国難突破解散」と名付けた。少子高齢化と北朝鮮が国難だという。北朝鮮の脅威を煽って集票に結びつけようという下心ありありだが、なぜ今になって少子高齢化が国難なのか。その裏にはアベノミクスの失敗がある。

 有効求人倍率の上昇、好調な企業業績。首相はアベノミクスの成果を目いっぱい強調するが、国民に実感がないことを知っている。指標は良くても実体経済は湿っている。賃金が上がらない。国民が貧しくなり、将来が不安でたまらない現役世代が育児や介護に喘いでいる。与党として放置できない問題だ。

 出てきたのが消費税の増税分を社会保障に回すという政策だ。5兆円規模の増収を保育所や介護に当てるという。これは前原民進党代表が掲げた政策だ。野党の方針をパクるのは「政策の敗北」である。金融緩和と成長で問題を解決しようとしたアベノミクスは空転し、自民党も分配政策に力点を移す。

アベノミクスは企業の
内部留保を増やしただけだった

 異次元の金融緩和は、人々の期待感に働きかけ、経済を活性化する政策だった。

 年間50兆~80兆円の日銀マネーを市場に注入する。インフレが起こるぞ、という期待から人々はおカネを使う。物価が上がり、インフレ期待がさらに消費を膨張させる、という筋書きだった。

 そうはならなかった。日銀が銀行から国債を買い上げて資金を注入しても、銀行貸し出しは伸びない。企業が借りてくれない。円安で儲けた企業も設備投資は海外でやる。

 国内にカネが回らない。企業経営者が国内市場に悲観的だから。来期も売り上げはトントンかな、と思えば設備投資はしないし、給与を上げることをためらう。期待成長率が低いから投資が起こらない。