圧倒的な成果には秘密があった――。「即日契約数が月7名から月50名に」「1億円以上の成果があがった」「契約者数が前年の2倍に」「高額商品が次々に売れた」……多種多様な業界の契約率を改善し続けるセールスコンサルタント林佳範氏の処女作『なぜか即日即断してしまう 105人連続契約の秘密』が発売となった。多くの企業で成果をあげ続ける彼は、いったいどのようなノウハウを教えているのか。林氏に、10年以上、3万人以上の経営者・スタッフに教えてきた契約率アップのノウハウについて教えてもらった。

「理由」ではなく「困った経験」を聞こう

 セールスでお客さんの悩みを聞き出す重要性は、前回の記事でもお伝えした通りです。契約率を上げるには、お客さんの「~したい」という願望の背後にある悩みを明確にする必要があります。ただし、「なぜ~したいと思ったのですか?」と聞くだけでは、願望の背後にある悩みは出てきません。「理由」の背後には、「悩み」以外にもいろいろな要素が複雑に絡んでいるからです。

 たとえば、あなたが転職していたとして、「なぜ、いまの会社に入ったのですか?」と聞かれたとき、その理由は1つだけでしょうか? きっと違うと思います。給料や待遇、やりがいなど、きっかけとなった悩み以外の要因が複雑に絡み合っているはずです。それを頭の中で整理できていなければ、すぐには答えられないのです。

 では、どうするか。きっかけとなった悩みを聞き出すには、「理由」ではなく「困っていること」を聞きます。たとえば、「駅から徒歩3分以内に住みたい」という願望があれば、次のように聞きます。

×「駅の近くに引っ越したいと思ったのはなぜですか?」
◎「駅の近くに引っ越したいということですが、いま何かその点でお困りのことはございましたか?

 学習塾で「子どもの成績を上げたい」という場合は、次のようになるでしょう。

×「なぜ、お子様の成績を上げたいと思われたのでしょうか?」
◎「お子様の成績を上げたいということですが、普段のお子様の学習で悩んでいる点はございますか?」

 あなたがお客さんだとしたら、後者のほうが答えやすいはずです。このように「~したいと思った理由」を「いま、困っていること」に置き換えて質問するだけで、グッとお客さんは答えやすくなるのです。最もシンプルにすれば、「~したいということですが、いま何かお困りのことはございますか?」と聞くだけです。「~したい」のきっかけとなった悩みを聞き出すときは、必ずこの言葉を思い返すようにしましょう。

セールスで、お客さんの「悩み」を聞き出すワンポイント