「3ヵ月、半年と時間が経つにつれ、被災地への関心が薄れているのではないかという恐怖がある。忘れられてしまうこと、無関心が怖い」。先日被災地を訪れた筆者は、こんな言葉を複数の被災者から、直接・間接的に耳にした。未曾有の大震災とは言え、世の中の情報の流れは速い。まだ復興への道のりは長いにもかかわらず、被災地への関心が日に日に薄れていることへの危機感を感じている人たちがいる。一方、被災地以外で暮らす人の中には、「震災関連の報道は毎日目にする」「報道は少なくない」と感じている人も多いだろう。震災から半年以上が経った今、被災地の人には「報道」がどう見えているのか。現地の人が今求めている「報道」は、どのようなものなのだろうか。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)

目立つのは平野復興相の「バカ発言」
関心は高くてもまともな震災報道は減少?

 世界中の人に衝撃を与えた3月11日の大震災から、すでに7ヵ月以上の月日が経った。震災発生直後は、各テレビ局でも特番が組まれ、街を丸ごと飲み込むほどの恐ろしい津波の映像に誰もが心を痛めたものだ。

 当然、国民の一番の関心は原子力発電所の事故処理も含む震災復興に集まり、迅速な復興政策を求める声が政府に集まった。

 もちろん、現在でも毎日多くの情報が報道機関によって発信されている。グーグルのニュース検索で「震災 復興」というキーワードを入れて検索してみると、ここ1週間でも数千件のニュースがヒットするのがその証拠であろう。

 だがしかし、多くの人の頭に一番残っている直近1週間における「震災関連報道」と言えば、「平野復興相の『バカ』発言」と、これに対する賛否両論の報道ではないだろうか。

 考えてみれば、わずか数ヵ月前まで「福島原発の事故対応」や「行方不明者の捜索状況」などが、ニュース番組や新聞における最大のトピックだった。しかし今や、まともな震災関連報道については、「どこかで新たにホットスポットが発見され、放射能汚染問題への議論が一時的に再燃する程度」といった印象が拭えない。