花粉症患者ガッカリ、舌下錠免疫療法薬が発売先送りの理由衆院選をにぎわす某党も「花粉症ゼロ」を政策に掲げているぐらい、花粉症はつらいもの Photo:123RF

 日本初の舌下錠タイプのスギ花粉症アレルゲン免疫療法薬「シダキュアスギ花粉舌下錠」(医療用医薬品)の発売が2018年4月以降に先送りされた。スギ花粉シーズンは1~4月。患者にとって悲報である。

 アレルゲン免疫療法とは、アレルギー疾患の原因物質を少量から投与することで体を慣らし、症状を治したり、長期にわたって抑えたりする可能性がある治療法。舌下錠とは舌の下で一定時間キープした後、飲み込む錠剤だ。

 現時点のスギ花粉症向けアレルゲン免疫療法薬の最先端は液剤の舌下液(医療用医薬品)で、従来の皮下注射と比べて痛みがないなどの利点はあるものの、冷所保管が必要で取り扱いが不便だった。

 花粉症患者は国民の約20%と推定され、うち約70%はスギ花粉症といわれている。舌下錠は室温保存が可能になるので、「忙しい朝は会社に持っていって服用できる」(大阪の30代会社員)などと、多くの患者が心待ちにしていた。

 発売時期がなぜ先送りされたかといえば、9月に厚生労働省の国内製造販売承認を取得した鳥居薬品が11月の薬価収載を見送ったからだ。薬価とは医療用医薬品の公定価格。医療用医薬品は厚労省に薬価を付けてもらって(薬価収載)初めて保険適用として流通が始まる。