団塊世代が75歳以上になるのは目前!ヤマ場迎える介護報酬の改定

介護報酬と診療報酬が6年ぶりに同時改定

 来年の4月に、介護報酬と診療報酬が6年ぶりに同時改定となる。団塊世代がすべて75歳以上になり、介護と医療費の増大が目の前に迫る2025年を視野に入れ、抜本的な制度見直しが必要と言われる。

「長期入院から脱し、原則として在宅療養」という理念を掲げた「地域包括ケアシステム」を実現させるために、どのように報酬面から事業者を誘導していくのかが注目されている。

 厚労省は利用者へ提供できるサービスの維持を図りつつ、社会保障給付費の抑制を目指さざるを得ない。難しいかじ取りを迫られている。関係審議会や分科会が毎週のように開かれ、急ピッチで討議が進んでいる。

 現在までの主な介護報酬改定の論点を取り上げ、問題点などを検討したい。介護報酬では、(1)訪問介護の「生活援助サービス」の見直し、(2)通所介護(デイサービス)でのリハビリ重視、(3)「自立支援」に前向きな事業所への評価と後ろ向きな事業所への減算対策、(4)収益率に応じた報酬の再編、などが挙げられる。

 まず、最大の争点となっているのが「生活援助中心型サービス」の基準緩和だろう。生活援助とは、ホームヘルパーが行う掃除や買い物、洗濯などの家事支援である。利用者は急増しており、この5年間で3割増え、約50万人に達している。

 訪問介護は、「生活援助」と入浴や排泄介助など身体的な接触をともなう「身体介護サービス」に分かれており、現行の資格者は「身体介護」に振り向け、役割分担を目指そういうことだ。