12月2日(金)は、注目の米国雇用統計の発表が予定されています。

 ただ、結論的にいうと、私は雇用統計の結果以上に、米ドル/円が77.8円を大きく上回るかどうかがポイントではないかと思っています。

 そして、77.8円を大きく米ドル/円が上回ったら、80円を目指し、一段と米ドル高・円安になる可能性が出てくると思うし、77.8円を米ドルが上回れないなら、米ドル安・円高のリスクも引き続き警戒する必要があると考えています。

なぜ、「77.8円」が円安と円高の重大岐路になるのか?

 なぜそう考えるのかといえば、この77.8円とは、現在、120日移動平均線が推移している水準なのですが、この120日移動平均線は、マーケットのリードオフマンの1人であるヘッジファンドの売買戦略にこの間、重要な影響をもたらしてきた可能性があるからです。

 「資料1」は、2010年からの米ドル/円と120日移動平均線のグラフです。これを見ると、2010年以降、米ドルが120日移動平均線を継続的に上回ったことが3回ありました。

 ところで、この3回は、ヘッジファンドなど投機筋の本格的なドル買い局面とほぼ重なっていたのです。

資料1

ドル/円の行方は120日線の攻防で決まる。ドル資金供給発表は「終わりの始まり」か?

 

 「資料2」は、ヘッジファンドの取引を反映しているとされるCFTC統計です。これを見ると、2010年以降、継続的な米ドル買い局面(矢印でマークした箇所)が、まさに米ドルが120日移動平均線を上回っていた時期とほぼ重なっていたのです。

資料2

ドル/円の行方は120日線の攻防で決まる。ドル資金供給発表は「終わりの始まり」か?

 

 「資料2」を見ると、ヘッジファンドなどの投機筋は、米ドルが120日移動平均線を上回ると米ドル買い、下回ると米ドル売りといった取引をすることが基本になってきたようです。

 そのスタンスが大きく変わっていないなら、120日移動平均線は足元77.8円程度で推移しているので、これを米ドルが上回ると、ヘッジファンドなどは米ドル買いの拡大に動く可能性があるでしょう。

 「資料2」を見ると、ヘッジファンドなどは、依然として米ドル売り・円買いにポジションが傾斜しているようです。

 こうした中で、継続的に米ドルが120日移動平均線を上回るような展開になるなら、まずは米ドルの買い戻しから始まり、米ドルが買われ過ぎの限界圏に達するか、120日移動平均線を下回るまで米ドル買いが続く可能性があるでしょう。

リスク回避の「終わりの始まり」か

 次に、11月30日(水)に発表された日米欧協調米ドル資金供給策で、欧州発金融危機といったリスク回避は終わったのか、というテーマについて述べたいと思います。

 最初に結論をいえば、「終わりの始まり」ではないかと思っています。

 なぜ、そんな話になるかといえば…

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