仕組み債とは、デリバティブの条件を加えてもともとの債券のキャッシュフローを変化させた債券だ。たとえば、高格付けの金融機関が発行した債券のキャッシュフローに、組成者(アレンジャー)となる証券会社(多くは外資系)が仕組んだデリバティブ条件を付加した債券を、販売者(アレンジャーとは限らない)が販売する。

 個人向けに売られていてトラブルの多い「EB債」と称する債券は、外資系証券会社がアレンジャーとなってデリバティブの条件を付加して、リテール販売網を持っている中堅クラスの日系証券会社が個人客に販売するのが典型だ。投資の際の主なリスクとしては、発行体の信用リスク、アレンジャーの信用リスク、デリバティブが持つ市場変動リスク、債券としての金利リスク、加えて現実問題として、商品に関する理解がある。

 たとえば、1年満期の円建ての債券だが、クーポンが5%あって、その代わりに、ある有名企業の株価が満期時点で販売当時よりも安くなっていた場合、現金ではなくて、発行当時の株価で計算された株数の株式で元本が償還される、といったかたちだ(投資家は株価の値下がりリスクを負担する)。

 仮に、「高格付けの債券なのに、5%も円建てで金利があるのは魅力だ。満期時に値下がりしていても、優良企業の株なら持っていれば将来回復するのではないか。その場合、優良企業の株を高いクーポンのぶんだけ安く買えたと思えば、腹は立たない」と思うなら、計算と説明は省くが、読者は「上客(=カモ!)」である。債券を買った瞬間、理論上は数パーセント損のはずだ。