グローバルに展開するアルプス電気のITを支えているのが、アルプス システム インテグレーション。 安定した経営基盤をベースに6年連続増収、2017年度は売り上げ100億円超えを目指す。人を大切にする社風で、IT業界の中でも離職率が低いのが特長だ。

 電子部品の大手メーカーであるアルプス電気のSI事業を担うIT戦略会社として、1990年に設立された。主力事業は、「製造流通ソリューション」「セキュリティーソリューション」「ファームウエアソリューション」の3事業で、近年新たに「IoTソリューション」事業をスタートしている。

アルプス システム インテグレーション
永倉仁哉代表取締役社長

 製造流通ソリューション事業は市場規模が最も大きく、企業運営の基幹となる業務支援システムの構築から保守・運用までをサポートするほか、ERP(基幹業務システム)やデータ統合の領域で、製造業・流通業に貢献している。アルプスグループ向けの業務のほか、現在外販にも力を入れている。

 セキュリティーソリューション事業は、日本におけるフィルタリングの草分けとして96年から事業を開始、2000年から自社開発のウェブフィルタリングソフトを提供している。業務に不要なサイトの閲覧防止や情報漏えい対策のほか、標的型サイバー攻撃など用途は拡大しており、企業、官公庁、学校などでの需要が多い。国内ウェブセキュリティー市場でベンダー別売上額シェア1位※※を獲得(15年〜16年)している。

 ファームウエアソリューション事業は、アルプスグループが製造する車載電装や通信デバイスの組み込み系制御プログラム、センサー制御のファームウエア開発を行っている。今さまざまな機器はインテリジェント化しており、この分野の需要は拡大している。

ものづくりのDNAを受け継ぎ、
ノウハウや技術を融合

「当社の強みは、製造業のグループ会社として経験を積んだ製品やサービスを提供できること。またそれぞれの事業にあるノウハウや技術を融合していけることにあります」

 こう語るのは同社の永倉仁哉社長。16年より開始したIoTソリューション事業は、まさにその強みを体現したものになっている。アルプス電気のセンサー製品に、ファームウエアのセンサーコントロール技術、製造流通のクラウド技術などを融合し、セキュリティー技術で全体を安全に管理する。17年7月には、IoTを素早く簡単に開始できる“期間レンタル型”ファストキットの提供を開始。安価でIoTを体感できる製品として注目を集めた。

「当社は、ものづくり企業のグループ企業として、現場・現実・現物を大切にしてシステムを考えることに特長があります。後の人が困らないように、後工程を効率よく進められることを常に考えて仕事をします。人に優しく、人を大切にする社風の会社です」(永倉社長)

※モノのインターネット
※※IDC Japan発行「国内情報セキュリティ製品市場シェア、2016年:外部脅威対策および内部脅威対策(Report♯JPJ41780817)」調べ

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