「どうにも最近、街中でWi-Fiがつながらない」

 今年後半になってよく耳にするようになった言葉だ。私の周囲でもそんな話をする機会が増えたし、なにより東京都内の喫茶店でこの原稿を書いているのだが、本来提供されているはずのWi-Fiが、現在つながらない状態である。

 基地局は見えている。電波も強いと表示されている。同僚はスマートフォンで接続できている。だから基地局が故障しているというわけではなさそうだ。しかし私がPCでWebブラウザを開こうとすると、やたらと遅かったり、あるいは接続が切れたりする。

 私自身は、公衆無線LANサービスによるパソコンでのネット接続を、かれこれ5年以上愛用してきた。サラリーマン時代からいわゆるノマド的なワークスタイルを続けてきており、重いファイル添付のやりとりやWebサービスをサクサク使うためには、3G回線だけでは物足りなかったからだ。

 そうした経験を踏まえた体感として、今年の夏くらいから、公衆無線LANサービスがとにかくつながりにくいと感じるようになった。あまりにつながらないため、同サービスを提供する喫茶店にせっかく入ったのに、やむを得ずその物足りない3G回線を使うことも、珍しくなくなった。

つながらないWi-Fi

 なぜWi-Fiがつながらないのか。理由の一つは、スマートフォンの台頭による急激な需給ギャップの拡大があるだろう。スマートフォンによるWi-Fi利用が今年に入ってから猛烈に増え、従来のWi-Fi基地局の供給量を大きく超過しているということである。

 実際、これだけ台数が増え、3G回線も混雑している。ある程度のITリテラシーを有する利用者であれば、Wi-Fiの利用を検討するだろう。特にスマートフォンは、従来のフィーチャーフォンのように片手で使うよりは、両手の方が使いやすい。となれば、どこかに腰掛けて使いたくなるというもの。喫茶店やファストフード店等での利用は、馴染みやすい。