2018年はどんな年になるのか。週刊ダイヤモンド 2017年12/30・18年1/6新年合併特大号「総予測」特集から、注目記事を抜粋してお届けする。

銀行を追い詰めた敵役、「平成不況の象徴」が金融庁から消える金融機関の監督官庁を務める金融庁の検査局が姿を消す Photo by Takahisa Suzuki

 平成30年という節目の年となる2018年に、よくも悪くも平成の象徴だった組織が姿を消すことになる。銀行など金融機関の監督官庁を務める金融庁の検査局だ。

 といっても、金融関係者のほかにピンとくる人はそう多くないだろう。ただ、銀行員の活躍を描いた13年放送の人気テレビドラマ「半沢直樹」を見た人には、こう言えば分かってもらえるかもしれない。おねえ口調の強烈な敵役として登場した、「黒崎駿一検査官」が所属していた組織のことだ。

 「平成不況」とも呼ばれるバブル崩壊後の「失われた10年」の間、銀行は貸借対照表(BS)上の「貸出金」の中に、返済の見通しが立たない不良債権を大量に“隠し”持っていた。処理するには損益計算書(PL)で巨額の損失を計上せざるを得なかったからだ。

 しかし、銀行が“膿”を出さなかった結果、日本経済はずるずると不信感と不況を引きずった。

 そこで、平成不況退治の使命を背負って銀行の元へ立ち入り検査に入ったのが、検査局の検査官だった。BS上の「貸出金」について資産査定を行い、不良債権をあぶり出して処理を迫る。かつての銀行にとって、そんな検査官たちは恐怖の対象でしかなかった。