家庭にまで入り込む受動喫煙議論
嫌煙者も違和感を覚える風潮とは?

加熱式タバコまで排除したがる嫌煙者の論理はどこまで正しいか加熱式タバコにもバッシングの波が及んでいる。嫌煙家から見ても、この状況はさすがに行き過ぎの観がある

 日本経済新聞の2018年1月5日付夕刊に、興味深い記事が掲載された。昨年10月に東京都議会で可決された「子どもを受動喫煙から守る条例」に関するものだ。私も知らなかったが、この条例は自宅内、つまり個人のプライベート空間内で禁煙を促す全国初の条例だそうだ。

 この記事で興味深かったのは、コラムニストの小田嶋隆さんが述べている「家庭への行政の介入に大きな反発がなかったことに驚いた」という点である。刑法犯であるDV(家庭内暴力)はともかく、一般的に個人がプライベート空間である自宅の中で何をしようが、憲法で保証された「自由の範囲内」であるはずだ。

 今回の条例が一歩踏み込んだのは、子どもを受動喫煙による健康被害から守る目的で、子どもが同席している部屋での禁煙を促したことだ。受動喫煙を減らすという目的は理解できる。しかし私がこの条例で気になったことは、加熱式タバコも規制の対象にしている点だ。

 受動喫煙についての長年の議論が積み重なった上で誕生した加熱式タバコは、有害物質を9割削減した「解決策」のはずだった。実際に自分自身の健康だけでなく、子どもや周囲への配慮から加熱式タバコに切り替えた人は、短期間に全喫煙者の2割弱に及ぶところまで増加している。

 ところが法律や世論は、この加熱式タバコに対しても厳しい論調を変えていない。世の中では、加熱式タバコも同様に規制の対象にするべきという考え方が当然のように広まっているのだが、それは本当に正しいことなのだろうか。

 先に白状しておくと、私は酒もタバコもやらない人である。そして実は、加熱式タバコのあの臭いも苦手である。居酒屋などで食事中に近所の席から加熱式タバコの臭いがしてくると、イラっとする。せっかくの料理が醸し出すかすかな香りが台無しになるからだ。