応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつある。本連載では、発売直後から立て続けに増刷が決まった元イェール大学助教授・斉藤淳氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から一部抜粋して、「世界のどこでも生きていける頭のよさ」を育てるための英習メソッドを紹介する。

学びの「基礎力」を身につける時期

幼児期の子ども英語では「楽しむ」ことに主眼を置くべきですが、小学校に通うようになったくらいからは、「学ぶ」ことを意識した環境づくりが重要になってきます。
といっても、机に向かって英語を勉強させる必要はありません。これまで身体的につかんできた音や文字の知識を、整理して学び直す機会をつくるだけで十分です。これがその後の「自分で学ぶための基礎力」につながっていきます。

一方で、幼稚園から小学校に進級する際には、大きな環境変化も含めて、子どもには一定の負荷がかかります。僕もこれまでJ PREPキッズでたくさんの小学1年生を見てきましたが、まさに最初は慣れるだけで精一杯。あまりにも「新しいこと」を詰め込みすぎないように、つねに注意してあげる必要があります。

「それぞれの文字」に「それぞれの音」だと気づく

一方、小学校に通うようになると、「国語」の授業がはじまりますから、それまでの蓄積がみごとに開花するケースが出てきます。
たとえば、授業を通じて文字を習うことで、音と文字の関係性に気づきはじめます。それまで楽しんでいたフォニックスの動画を振り返りながら、「“a”の音とアの音は違うんだな」「日本語はひらがなとカタカナと漢字があるけど、英語は大文字と小文字なのか」という具合に、より理解が深まっていくのです。

そうなると、2つの言語の共通点や違いにも目が行くようになり、モノリンガルの子たちにはない視点、つまり、言語を相対化して観察する視点メタ言語意識)が養われます。
以前、キッズクラスの子どもから、「日本語だと句点で文章が終わるのに、どうして英語だとピリオドになるんですか?」と聞かれて、しばし考え込んだことがありました。まさに英語を学習した子ならではの着眼点です。これを「次のステップ」につなげていくことこそが、僕たち大人の役目ですね。

またこの時期には、身体的な成長に伴ってモータースキルが高まってくるので、安定した筆圧でスムーズに鉛筆が動かせるようになります。ノートに文字を書く機会も増えてきて、書くことに抵抗がなくなってきたら、英語のアルファベットや短文を書く練習も徐々にはじめていきましょう(ただし、無理は禁物です!)。