2011年は東日本大震災、円高、ユーロ危機、タイの大洪水と、日本にとっては内外ともに災厄多き年だった。12年はそれ以上に不確実性、不安定性が高まる年となりそうだ、何しろ世界は政治の季節に突入する。1月の台湾総統選に始まり、露、仏、米、韓では大統領選、中国でも政権交代が行われる。北朝鮮情勢も不安材料だ。そうした状況下、12年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々に、アンケートをお願いし、5つのポイントを挙げてもらった。第16回は、著述家・編集者の石黒謙吾氏。

①芸能は日韓輸出合戦
&ライブ人気に拍車

タレント・アイドルの日韓輸出合戦は<br />「ノーガードの打ち合い」状態に突入!<br />――著述家・編集者 石黒謙吾氏いしぐろ・けんご/1961年金沢市生まれ。映画化もされたベストセラー『盲導犬クイールの一生』をはじめ、『2択思考』『エア新書』『ダジャレ ヌーヴォー』など、硬軟取り混ぜ著書多数。チャートを用いて構造オチの笑いに落とし込む「分類王」としての著書に『図解でユカイ』がある。編集者としても幅広いジャンルで170冊を手がける。野球とビールと犬と笑いとキャンディーズを愛する。

 生活全体に震災の影響がジワジワと浸透し、根源的な快感を求める傾向が定着する。特に若い人ほどその傾向になる。芸能での大きな流れは、日韓輸出合戦だ。韓国の人は日本のタレントに憧れ、こちらはその逆。典型的な「隣の芝生は青く見える」状態だ。

 男性陣は、東方神起、チャン・グンソクに続く人気タレントが流入する。ジャニーズも脅威は感じつつも、もう戦ってどうなるものでもないと、国内で固く牙城を守りつつも、アジアでさらに強力にビジネスを仕掛ける。

 女性陣は少女時代、KARA以下やはり同じで、こちらは秋元康の“48ビジネス”が話題の中心となる。日韓の融合と言うより「ノーガードの打ち合い」的様相を見せる。日本の芸能界の安寧が破られた。他に音楽では、CDはおろか配信にすらお金は落ちず、ライブへの欲求がさらに高まる。震災で音楽が癒す力を再認識し、ぬくもりを求めるようになった。たき火を囲んで仲間で太鼓を叩いていた古代のような、プリミティブな感性を取り戻しつつあると感じている。