ソニー盛田昭夫氏の英語スピーチがMIT学生の心を鷲掴みにした理由ソニー創業者、盛田昭夫氏のスピーチは、MITの学生の心を鷲掴みにした Photo by Bill Pierce/gettyimages

 ある大手日本企業の現地法人が、シリコンバレーの有力者たちを集めてイベントを催した。テーマは、「シリコンバレーコミュニティーとの連携」。その現地法人の日本人社長は英語のスピーチの中で「エイリアン」という言葉を繰り返した。

 エイリアン(alien)とは「異邦人、異星人、(招かれざる)外国人」を指す言葉だ。どうやら日本人社長は、アライアンス(alliance:同盟)という言葉を「エイリアン」と発音していたらしい。

 本来言いたかった「手を携えて……」の正反対の意味を聴衆に発してしまった。ネーティブのような発音をする必要はないが、せめてキーワードの発音には注意をし、事前にプロのチェックを受けるべきだった。

 米国に住んでいると、自分の主張をしっかり相手に伝えられない場面に多く遭遇し、残念な気持ちになることが多い。われわれがグローバルな場で効果的に自分の考えを相手に伝えるにはどうしたらいいだろうか。

ソニー盛田昭夫の熱弁

 もう30年以上前になるが、留学先のMIT(米マサチューセッツ工科大学)に、ソニーの故盛田昭夫さんが来たときのスピーチが今も忘れられない。

 ソニー創業や「ウォークマン」の誕生物語などのワクワクするようなストーリーを熱弁し、イノベーションの重要性を説く姿は学生の心をわしづかみにし、最後は総立ちで拍手が鳴りやまなかった。日米貿易摩擦が問題となっていた当時は、日本を批判する空気が強かったにもかかわらず、である。