富士フイルムが米ゼロックス買収、子が親を飲み込む裏事情「ゼロックスを買収する夢は長らく持っていたが、莫大な資金が必要となる。今回のスキームに巡り合って初めて話が動いた」と富士フイルムHDの古森重隆会長(写真)は明かす。その決断は吉と出るか凶と出るか Photo by Yoko Suzuki

 アジアの合弁相手だった“子”が、米国の老舗名門の“親”を買収──そんな成功譚となるかどうか。

 富士フイルムホールディングス(HD)は1月31日、米ゼロックスを買収すると発表した。

 まず両社が出資する富士ゼロックスが、富士フイルムHDから富士ゼロックス株を6710億円で自社株買いする。さらにゼロックスが既存株主への特別配当で時価を下げ帳尻を合わせる。富士フイルムHDは得た6710億円でゼロックスが発行する新株を取得、全体の50.1%の持ち分を握る。その後富士ゼロックスはゼロックスと合併。合併後、新会社の経営権を富士フイルムHDが握る。

 つまり、富士フイルムHDは実質“タダ”でゼロックスを傘下に収めるという仕組みだ。

 1906年創業の伝統的テクノロジー企業でコピー機を発明したゼロックスだが、内情は“火の車”だった。2017年度の売上高は前年度比4.5%減、営業利益は68%も落ち込んだ。

統合するのはハード事業のみ

 さらにゼロックスを悩ませていたのが、“物言う株主”の存在だ。