◎分析したのは
河合達憲さん
カブドットコム証券チーフストラテジスト。調査情報畑一本で20年来の実力者。マクロから個別銘柄まで鋭く分析する。

◆過去の3ヵ月を分析!
欧州離れができず日本株は低迷が続いた

 日経平均株価は、8455円で2011年の取引を終えました。

 11月下旬から12月上旬にかけて、株価は順調に持ち直しているかに見えたのですが、結局10月末の高値(9050円)を抜ける展開には至りませんでした。それは、今後の工程表さえも決まらないなど、12月8~9日に開催された「EU首脳会議」が、市場の期待を完全に裏切ったためです。

 具体的には、市場は「ユーロ共同債の発行」や「ECBによる国債の買い入れ」など、即効性のある対応を求めていました。ところが、ドイツの反対によりユーロ共同債は発行されず、今あるセーフティネットは、(1)EFSF(欧州金融安定基金)の4400億ユーロ、(2)ESM(欧州安定メカニズム)の5000億ユーロ、(3)IMFを通じた融資枠の2000億ユーロのみです。

 これら全部を合わせても1兆1400億ユーロにしかならず、これはイタリアの債務残高(1兆8000億ユーロ)よりも少ない。つまり、イタリアの国債がデフォルト(債務不履行)してしまったらおしまいという、心もとないものでしかありません。

 そこで、ドイツは財政協定をより厳しいものにしようとしましたが、英国がEU基本条約の改正に反対。

 これら欧州の対応にしびれを切らした米国は、カーニー大統領報道官が、「米国の納税者が、これ以上欧州にかかわる必要はない」と明言。IMFへの資金供出を否定しました。

 欧州を見放した米国の株価は、景気の堅調さも手伝い上昇。一方で、まだ欧州の財政問題に引きずられている日本株は上値が重い展開となりました。