社会や暮らしの中に、急速にクラウドサービスが広がっている。ITベンダーとして富士通はどのように新しいビジネスを描くのか。

富士通社長 山本正已<br />社会や暮らしを支えるクラウドを中核事業にPhoto by Toshiaki Usami

──東日本大震災を機に、生活を支えるシステムに注目が集まっている。

 ICT(情報通信技術)を活用して、生活基盤や社会インフラをどう守るかは重要な課題だ。震災では戸籍そのものが流されたり、医療機関のカルテの情報を流された人もいた。

 これから問題になってくるのは沿岸部の病院。あまり医師がいないから、遠隔医療のようなサービスを使って、都市部の病院から電子カルテや映像等で最適なサポートをしてもらう。東北地方は土地が広い割に、過疎化が進んでいるのでとても重要になってくる。

 現在は電子カルテをつなげる規格づくりが進んでおり、富士通が仕掛けているビジネスだけで10件以上のプロジェクトがある。2~3年後には県を越えて結ばれる。

──特に注目しているサービスの領域は。

 富士通は医療や農業、流通などにテーマを絞っている。農業はイオングループと共同で(ITによって効率的な農場経営をする)ビジネスを始めた。農業をビジネス、企業にしようというもので、JA(農協)より進んだ世界をやろうということ。また商談ベースでは、オーストラリアでブドウの生産性を上げる取り組みもある。