株や投信で20万円以上儲けた人は申告が必要だが、利益を小さくしたり、損失を利用して節税する方法もある。以下、5つの基本的なポイントをご説明しよう。

(1)売却益には10%課税

 上場株や株式型投信を売って儲け(売却益)が出た時は「譲渡所得」となり税金を払わなければならない。この場合は給与や配当金などの所得とは分けて課税される申告分離課税となり、税率は時限措置として軽減税率の10%が適用される。

(2)一定条件に当てはまれば申告不要

 儲けが出ても一定の条件にあてはまれば申告不要になる。給与所得の会社員で1年間の売却益の合計が20万円以下の時。もう1つは特定口座の「源泉徴収あり」を利用している場合。こちらは証券会社が税金の手続きを代行してくれる。

(3)株と投信の損益の通算ができる

 株と投信(株式投信)の売却益はどちらも譲渡所得となり、それぞれの利益と損失を通算することで利益を圧縮できるので節税に役立つ。なお、現在は投信の売却時に買取請求を選んでも解約請求を選んでも、損益の通算ができる。

例:A株の利益:50万円+Bファンドの損失:30万円=差引:20万円→利益が小さくなった!

(4)売却損と配当・分配金が通算できる

投資で儲けた人、損した人の確定申告5つのポイント損失も繰り越したり、通算すればムダじゃない!

 株の配当金や投信の分配金は源泉徴収されているため、基本的に申告の必要はなし。でも申告分離課税を選んで確定申告すると株の損失(譲渡損失)と損益通算できるようになる。損益通算することで、配当や分配金の源泉徴収分が戻る。

例:A株の売却損:50万円+Bファンドの分配金:20万円→分配金の源泉分2万円が戻る!

(5)株や投信の損は3年繰り越せる

 株や投信で損失が出た時は「譲渡損失の繰越控除」を使って、今回の確定申告で相殺しきれなかった分を、今年以降3年間繰り越すことができる。つまり2011年の損失は2014年まで繰り越して、その間の売却益と相殺できる。

例:2011年の損失:マイナス50万円+2012年:プラス30万円=差引がマイナス20万円で税金はゼロに!(さらにこの20万円は翌年以降に繰り越し可能) *2011年分は申告しておくことが条件。

(文/山本信幸、イラスト/宗誠二郎)


*ダイヤモンド・ザイ3月号に掲載。3月号は「確定申告 2012年版!」「株主優待全コレクション719」の2大特集。その他に「2012年を乗り切る 日本株大作戦!」、為替の特集は「円高トレンドの終焉に備えよ!」。そしてあのホイチョイ・プロダクションズの新連載「年金ロックンローラー 内沢裕吉」がスタート!