大阪のスマホアプリ開発企業が「グーグル公認」の栄誉を得るまで牧野兼史・フェンリル取締役最高経営責任者 Photo:Satoru Oka/REAL

 2017年9月、スマートフォン向けアプリを受託開発するフェンリルが、米グーグル公認のモバイルアプリ開発機関の一つとして認められた。

 グーグルは15年から開発会社向けにアプリ開発に関する研修や事例の共有などを行ってきた(Google Developers Agency Program)。その参加者の中でも、特に技術力の高い企業を「Google Developers Certified Agency」として公認している。

 このうち、日本の会社として初めて選ばれたのがフェンリルだ。一般的には無名の会社だが、あのグーグルが世界レベルの技術力を持った開発企業として認める存在といえよう。

 しかも、フェンリルは東京にあるわけではない。大阪を拠点に300社以上、500本を超えるアプリを開発してきた“なにわ”の会社である。

 フェンリルの開発例を挙げれば、テレビ東京の「テレビ東京ビジネスオンデマンド」や損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の「ライフプランコーチ」がある。他にも東急カードや日本放送協会などさまざまな企業と組み、一般向けアプリの開発を行ってきた。

 さらに、JR西日本ITソリューションズや大成建設などと現場で利用する業務用アプリも開発してきた。

 売上高は15年度の17億円から16年度の23億円へ、17年度も30億円弱の見込みと2桁成長を続けている。自己資金で経営しながら従業員も約300人にまで増やした。大阪でもまだ広く知られていないベンチャー企業だが、その競争力はどこにあるのか。