ビットコインなど仮想通貨が連日ニュースを騒がしています。先日まで資産1億円超を達成した「億り人」が話題になっていましたが、実は今では「税金破産」が心配されています。背景に価格の乱高下があるのは言うまでもありませんが、仮想通貨の税額計算の公開が昨年12月だったことも要因の一つです。ポイントをしっかり押さえ、「仮想通貨元年」の確定申告を、無事に乗り切りましょう。

ビットコイン・仮想通貨で儲けた人には
高額な税金を払う確定申告が待っている!

「億り人」の納税額は約5000万円!
払えなければ税金破産も‼

「億り人」(投資で1億円以上の資産を築いた人)と聞くと、うらやましく思えますが、その気持ちは半分で十分かもしれません。昨年、運良く暴落前にビットコインを売却し、1億円の利益を上げた人でも、約5000万円が税金(所得税と住民税)で消えてしまうからです。

 しかも、1億円手にした後、新たに投資したり、家や車を購入したりして、たとえば6000万円を使っていた場合、今すぐ自由になるお金は4000万円しかありません。別途1000万円の現金を用意できないと、税金すら支払えなくなってしまうのです。

「そんなことわかりきっていたことだろ!」という声が聞こえてきそうですが、仮想通貨の税務の指針が示されたのは昨年9月のこと。税額計算の方法が正式に決まったのは12月です。税金の法整備が追いついていない状態ですから、多くの人が混乱に陥るのも、無理からぬ話なのです。

ビットコイン等への税金は
儲けが大きい人ほど税率アップ!

 では、なぜ仮想通貨で得た利益に対する税金はこんなにもバカ高いのでしょうか。ご存知のとおり、現状の仮想通貨は「通貨」というより、投機対象の「金融商品」としての色合いが濃くなっています。しかし、税金のしくみについては、株や投資信託、FXのいずれとも扱いが異なります。

 前回、触れましたが、所得(利益)にはいろいろ種類があって、「給与所得」「事業所得」「不動産所得」など10種類に分類されます。そのうち、ビットコイン等による所得(利益)は「雑所得」となります(事業としてビットコインの取引をしている場合は事業所得となりますが、レアケースのため、ここでは省略します)。

 FXによる利益も同じ雑所得ですが、両者には大きな違いがあります。それはFXが「分離課税」であるのに対して、ビットコイン等は「総合課税」だという点です。これも前回、取り上げましたが、分離課税とは、ほかの所得とは切り離して、その所得だけで税額を計算するもの。一方、総合課税とは、ほかの種かの所得と合算して税額を計算するものです。

2018年に行う確定申告で<br />1円でも多く税金を取り戻すには(3)<br />

FX同様、株や投資信託による利益も分離課税です。まとめると以下のようになります。

●「株・投資信託・FX」と「ビットコイン等」の税額計算の違い
〈株・投資信託・FX〉
 ・税額の計算方法:分離課税(株と投資は合算可能だが、FXとはそれぞれ別に計算)
 ・税率:所得税15%(別途、復興特別所得税)+住民税5%=20%
〈ビットコイン・仮想通貨〉
 ・税額の計算方法:総合課税(給与所得、事業所得、不動産所得などと合算)
 ・税率:所得税5~45%(別途、復興特別所得税)の7段階+住民税10%=15~55%

2018年に行う確定申告で<br />1円でも多く税金を取り戻すには(3)<br />

 ビットコイン等の税率に幅があるのを見て、ピンときた人もいるのではないでしょうか。総合課税は所得の高い人ほど税率がアップする「累進課税」になっているのです。累進課税の税率は図のとおりです。図中の「課税される所得金額×税率-控除額」が納めるべき所得税額となります(このほか、「所得税額×2.1%」の復興特別所得税と住民税10%がかかります)。

 ビットコイン等では、この累進課税で税額を計算するため、億り人の税金は所得税と住民税を合わせて、約55%(控除等を加味すると約50%)にも及ぶのです。