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「借入は怖い」という「錯覚」に陥ってはいけない

「顧問税理士の実力が分からない!」という悩みをよく相談されます。

 税理士になった経緯や実務経験はバラバラですから、なかなか一律に判断するのは難しいのが現実です。

 ただし、以下の3つの質問に適切に答えられない税理士さんは少し問題があると思っていいでしょう。

質問1)「お金を使わない節税を提案してくれませんか?」

 生命保険などお金を使う節税をしてしまうと税金を払うよりもお金は減ります。

 ではお金を使わない節税はないのでしょうか? 実は節税には3段階あります。

1.お金を使って利益を減らす節税
2. お金を使わず利益を減らす節税
3. お金を使わず利益も減らさない節税

 もちろん3が一番いいです。3の提案をできる税理士さんは信用できます。

 一般的には2の節税まではできると思います。お金を使わずというのはすでに使っているものをいかに経費にして利益を減らすかというものです。

 たとえば、資産に計上して長期間にわたって減価償却により経費にしなければいけないものを買ったときに、一括で経費化するなどの節税です。ただ、この方法をとると、利益が下がってしまいますので、財務的にはマイナスとなり、使うべきかどうかは検討が必要です。

 一方、3のお金を使わず利益も減らさない節税は絶対にやるべきです。財務的にもプラスです。利益を減らさず税金を減らすのですから、税引き後の利益がさらに増えるからです。

 その手段として「税額控除」という税制があります。一回経費になっているのにさらに税金計算のときにも一定の金額を引いてくれるのです。詳細は顧問税理士に聞いてみてください。

質問2)「今年の税制改正でうちに役に立つことはありますか?」

 毎年12月には税制改正大綱というものが発表され、翌年の税制改正の案が確定します。この段階で提案ができる税理士は非常に優秀だと思いますが、年末の忙しさでじっくり読み込めていない人が多いのが実情です。さらに経営者が税制改正について聞いたとしても、漠然と答えられると、理解できないことが多いと思います。

 そこで、「御社」に影響があることを聞いてみましょう。クライアント思いの税理士であれば、「この改正はあの会社に影響があるなあ」など知識としてではなく、実務レベルに落とし込んで考えてくれるはずです。

「御社に関係ある改正はありません」と言われてしまったら、「では大きい改正はどういうことでどういう会社にどういう影響があるのですか?」などと、きちんと勉強されているかどうかを確認したほうがよいと思います。

質問3)「税務調査が来ないようにできませんか?」

 税務調査は絶対に来るものだと思っていませんか? 実は「書面添付制度」といって決まった書面を添付した場合には、税務調査が省略される可能性がある制度があります。書面添付されている申告書が提出されている場合には、税務調査をおこなう際の事前連絡の前に、書面添付した税理士に、その申告内容について意見を聴取しなければならないのです。

 この事前の意見聴取で問題がなければ税務調査は省略されます。

 ただ、この書面の作成が面倒くさいので、この事実を伝えていない税理士が多いです。
ぜひ、顧問税理士に聞いてみてください。税理士は税金の専門家です。税に関するメリットは最大限得られるよう専門家を有効活用してください。

■参考文献
儲かる会社に変えるたった1つの方法