サークルKサンクスとの経営統合により、コンビニエンスストア業界で店舗数2位に躍り出たファミリーマート。ただ、首位のセブン-イレブン・ジャパンとの実力の差は依然として大きく、統合後の体制整備も道半ばだ。ファミマを“戦う集団”につくり直すため、外部から送り込まれたトップが苦闘している。(「週刊ダイヤモンド」編集部・岡田 悟)
ファミマ社長が「トレーニング中」の名札を着けて現場に立つ理由事業再生支援会社リヴァンプ社長から2016年9月にファミマの社長に就任した澤田貴司氏

 2月中旬のある日の朝、ファミリーマート社長、澤田貴司を乗せたワンボックスカーが、都内の住宅街の店舗に停車した。独立したオーナーのフランチャイズ(FC)契約ではなく、会社が直接運営する複数の店舗の視察だ。澤田は降りるなりスーツの上着を脱いで、店舗のスタッフが着るのと同じユニホームを羽織る。名札には「さわだ」の名前の上に「トレーニング中」と書かれている。

「こういうのはもったいないから、やめた方がいいよね」と言いつつ指さした先は、片側1車線の狭い道路を挟んで“対峙”するセブン-イレブンの店舗だ。

「コンビニ市場は飽和している」「24時間営業が本当に必要なのか」──。伊藤忠商事からユニクロを運営するファーストリテイリング副社長を経て、自ら立ち上げた事業再生支援会社、リヴァンプの社長から2016年9月にファミマの社長に就任した澤田は、業界の常識にあらがう挑発的な発言を繰り返してきた。本誌16年10月29日号のインタビューでも、業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンを念頭に「『ファミマをなめるなよ』と声を大にして言いたいですね」とたんかを切っていた。

 ただ、華麗な経歴を重ねてきた澤田とて、従業員6000人超、さらに独立したFC店を中心に約1万7000の店舗を持つような巨大企業のトップに立つのは初めてであり、悩みは深い。