顧客がサービスを選ぶ時代、企業はITとどう向き合うべきか。ITを誰でも当たり前に使える時代となり、金融をはじめとするサービスの形や、それを支えるシステムの在り方も大きく変わってきた。高度な信頼性や安定性が要求されるシステムの開発を得意としてきたNTTデータは、新たな潮流にいち早く挑み始めている。その詳細を2人のキーマンに聞いた。

3年先が見えない時代に
ビジネス基盤をどうつくるか

激しい時代の変化に対応しながらビジネスを進化させていくには、ITをどう活用すべきか? NTTデータ第四金融事業本部の宮本拓也氏に聞いた。

NTTデータ 第四金融事業本部
企画部 事業開拓推進室
宮本拓也部長

「スマートフォンの普及によって、ITは普通の人々が当たり前に使える技術になりました。蛇口をひねれば水が出るように、ボタンを押せば欲しい情報が簡単に手に入るので、『ITを使っている』という意識はほとんどないのではないでしょうか」と宮本氏は語る。

 スマホが本格的に普及し始めてから10年。ITの大衆化と日常化は急速に進んだ。かつては専門家や特定ユーザーだけの技術だったが、誰もが簡単に使える“道具”の一つになった。

「次の10年でITはますます身近な存在になっていくでしょう。その動きとともに、システム開発の潮流も二分化が進んでいくはずです」(宮本氏)

 金融、製造、流通といった産業の基盤や、官公庁・自治体による行政サービスの基盤として利用される高度な安定性や信頼性が要求されるシステムの開発は今後も続く。

 その一方で、「あらかじめしっかりと作り込んだ堅牢で大きなシステムだけでなく、激しい時代の変化に合わせて、柔軟に作り替えていける敏捷性の高いシステムが求められていくのではないでしょうか」と宮本氏はみる。