3月4日行われたロシア大統領選挙では、事前の予想通りプーチン首相が当選し、返り咲いた。前回とは異なり、国内では反プーチンの世論も強まっている。これまでの業績を評価しつつ、プーチン政権の今後の課題、対日政策の行方を検証する。

大統領選の結果を
どう読むべきか

しげた・ひろし
1942年生まれ。1965年東京大学中退、外務省入省。ハーバード大学、モスクワ大学留学。1996年外務省国際情報局長、1997年総理府国際平和協力本部事務局長、1999年在イスラエル大使、2002年国際テロ担当大使、2004年東京大学客員教授、2006年日本財団特別顧問、2008年北方領土問題対策協会理事。主な編著書『日露・日ソ基本文書資料集』、訳書『インテリジェンス:機密から政策へ』

 3月4日行われたロシア大統領選挙では、プーチン首相が63.6%の得票を得て、当選した。共産党のジュガーノフが17.2%、無所属のプロホロフが8.0%、自民党のジリノフスキーが6.2%、公正ロシア党のミロノフが3.9%の得票であった。

 投票率は65.4%であった。

 プーチンは勝利宣言の際に涙を見せたが、この結果を喜んでいると思われる。プーチンは性格上、陰で権力をふるうのが得意で、選挙運動は得意ではない。

 プーチンは2000年3月の大統領選挙で52.9%の得票で当選し、2004年の選挙では71.3%の得票で当選した。しかしロシア憲法上、大統領は連 続して2期しかやれないことになっているので、2008年にはメドヴェージェフを大統領にし、自らは首相になっていた。今回、再び大統領として返り咲くこ とになった。

 2008年11月、メドヴェージェフ大統領はロシア憲法の改正を行い、これまで4年であった大統領の任期を6年に延長した。今回の選挙で選ばれる大統領からこの任期が適用されるので、プーチンの任期は2018年までになる。2018年の選挙でプーチンが勝てば、更に2024年までプーチンは大統領にとどまりうることになる。異例の長期政権の可能性が開かれたと言える。