原発政策論議「政治の都合」で2度目の封印、結論は3年後に先送り現状維持の方針が固まったエネルギー基本計画。有識者会議で原発政策を真正面から議論することはなかった Photo by Ryo Horiuchi

 国策民営で進めてきた原子力発電所の在り方について、何も語らずに逃げ切ろうというのだろうか。

 エネルギー基本計画(エネ基)の見直しを議論する経済産業省の有識者会議は、“現状維持”の結論のまとめに入った。次の見直しのチャンスは3年後までない。

 焦点の原発については、従来通り「重要電源」としつつ、新増設、建て替え(リプレース)には踏み込まないことで調整が進む。

 ここ数年間、政府は原発の新増設、リプレースの判断をめぐり、大きく揺れていた。

 エネ基に基づき、2015年に策定した長期エネルギー需給見通しは、30年度の電源構成(総発電量に占める各電源の割合)で原発比率を20~22%と決めた。

 しかし東日本大震災後、原子力規制委員会の審査や立地自治体の同意のプロセスが長引き、順調に再稼働が進まないため、目標達成が見通せなくなっていた。

 そこで、16年には政府関係者の一部から「そろそろ話をしてもいいじゃないか」と新増設、リプレースの選択肢が浮上した。しかしその後、安倍政権が失速し、見直し議論が始まった昨夏には「計画の骨格を変える時期ではない」(世耕弘成経済産業相)とトーンダウンした。

 その後の衆院選で与党が大勝し、盤石の政権基盤を確保した安倍政権は、もう一度新増設、リプレースに踏み込もうとした。ところが、昨今のいわゆる森友問題で窮地に陥り、2度目の封印となったのだ。