先週の総括

 先週の日経平均株価は週初米国株安、113円台まで進んだ円高を受けて250円ほど急落して始まった。その後は米国株、為替の方向に影響される状況で小動きに終始した。中国株が売られて連れ安する場面もあったが、週末は16500円を回復して終えた。

 引き続き新興市場のインターネット株が上昇している。東証1部は売買代金は3兆円割れが続き市場のエネルギー不足は明らかである。ここ数ヶ月、サブプライムローン問題及びそれに起因する米国景気の後退懸念に対し、FRBの金融引下げ期待が綱引きとなり株式市場が揺れている。

 先週の下落は多分に楽観論の裏返しによる指数先物中心の下げであり、騰落レシオ(上昇銘柄数と下落銘柄数の比率)を見ても個別銘柄物色の意欲は衰えていないと判断している。KYBなど業績上方修正銘柄に対しては買いが集まっていることはその証左だろう。

今週の予報

小売業種:悪材料出尽くしで「雨のち曇」

雨 くもり

 今週の日経平均株価は先週の下落に対するリバウンドを試す展開へ。月末に予定されている米国FOMCで再利下げが行われるかが焦点。全体のエネルギー不足の中、新興市場など中小型株が賑わうだろう。

 2006年以降、小売株が急落している。代表銘柄のイオンが今期最高益を更新しようという勢いであるにもかかわらず、株価は2006年の高値から半値水準まで売りこまれた。企業業績の好調さがほとんど雇用者所得に反映されない状況下では、小売株を買う気もしないということか。

 実際10月の月例経済報告は個人消費の判断を下方修正した。しかし小売業種指数12か月騰落率-TOPIX(東証株価指数)12か月騰落率を計算すると9月末段階で▲20%を越えた。過去2000年9月、2003年8月の2回▲20%を越えたがいずれもその後反発している。

 先ほどのイオンの例のように、好業績を無視して売り続けることも限度がある。悪材料はほぼ織り込まれたと考えている。いずれ雇用者所得にも明るい兆しが出てくるだろう。

今回のポイント(まとめ)

 小売業種は2006年、2007年と東証33業種分類中30位以下の騰落率であり投資家の興味が完全に薄れているが、人気の無い業種を買うのが投資の鉄則である。現状の円高の流れの中で見直されると考えている。