LED(発光ダイオード)照明の市場が活況を呈している。1996年に白色LEDが登場して以来、省エネで長寿命として開発が加速。特にこの3年、白熱灯に代わるダウンライトなどが企業や家庭に急速に浸透してきた。

 矢野経済研究所によると、世界の照明用白色LED市場は、2008年の402億円から13年には10倍の4130億円になると予測。老舗の照明器具メーカーやベンチャーの参入が相次いでいる。

 ところが、そのLED照明は、まだ蛍光灯の性能に達していない。エネルギーに対する明るさの効率を示す発光効率は、最高峰の「Hf型」蛍光灯で1ワット当たり約100ルーメン。一方、LED照明は約80ルーメンと低い。確かに、LEDチップ自体は150ルーメンに達しているものもあるが、照明器具に組み込むことで効率が50~30%下がってしまうのだ。

 LEDチップは熱に弱いため、放熱技術一つで寿命が大きく変わり、ソケットで明るさが変化する。加えて、LED照明の大半は、照明器具などの適合基準を定めた「電気用品安全法」の対象外となっている。一般の照明器具と異なり、規格はなく、品質も保証されていない。

 たとえば「LED照明の明るさは蛍光灯と同じ。だから省エネでお得」としても、LEDの光は直線的なため、明るさにはムラが生じる。LED照明の真下から1メートル離れた壁が暗いこともある。

 安全性の保証も不十分。流行の蛍光灯形LED照明は既存の蛍光灯と取り替えが可能とされるが、そもそも、器具は付け替えや改造を想定していない。壊れてもメーカーは責任を負えない。「こちらで調べると、海外製品のうたっている性能が実際と違うこともある」(大手照明器具メーカー)。

 LED照明の発光効率は近く蛍光灯を超えるとされる。だが、粗悪品が出回れば、信頼性そのものが損なわれる。経済産業省製品安全課は「なんらかの対策は必要」とするが、消費者への啓発など早急に手を打つ必要がある。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)