英語で消防士は、直訳すると「火と戦う人」?英語で消防士は、直訳すると「火と戦う人」?(※イメージ写真)

 小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「パックンの今すぐ通じる英会話」。今回は「職業名」です。

 英語の職業名は時代と共に変わることがあるよ。たとえば警察官。ぼくが小さいころはpolicemanと呼んでいたけれど、警察官はman(男性)だけじゃないので、今はpolice officerと呼ぶ。officerは司令官という意味だけど、警察官の場合は地位にカンケイなく誰でもofficerなのがちょっとおもしろい。消防士も、昔はfiremanだったけど、今はfirefighterだ。直訳すると「火と戦う人」。なんかカッコイイね!

 職業名のmanをperson(性別にかかわらず、人を指す)に変える場合も多い。たとえば、businessman(会社員)はbusiness person、chairman(議長)はchairpersonというようにね。あ、サラリーマンは和製英語だから、サラリーパーソンという英語はないよ。それから、飛行機の女性客室乗務員は、昔はstewardess(スチュワーデス)だったけれど、今はflight attendantと呼ぶ(※)。stewardessのように語尾に-essがつくのは女性名詞。ほかにはactress(女優)がよく知られているけれど、これも性別にかかわらず使えるactor(俳優)に統一したほうがいいという意見もある。

パトリック・ハーランパトリック・ハーラン(パックンマックン)/1970年、アメリカ生まれ。ハーバード大学卒業。93年に来日し、97年お笑いコンビ「パックンマックン」を結成。テレビ番組などで活躍中。東京工業大学非常勤講師(撮影/家老芳美)

 ぼくは、言葉は考え方をつくるものだと思う。小さいころからpolicemanという言葉を聞いていると、知らずしらずのうちに「警察官は男性なんだな」と思うようになるからね。なかには、history(歴史)の語源はhis story(彼の物語)で男性目線だから、herstory(herは「彼女の」という意味)も使うべきだという主張もあるくらいだ。言葉がどんどん変わるとHelp! (助けて!)って叫びたくなるかもね。え、He(彼)じゃなくてShe(彼女)を使ってShelp! って言うべき? いやいや、そこはHelpで大丈夫だから!

※日本でよく使う「キャビンアテンダント」は和製英語。

【ワンポイントアドバイス】
player(選手、演奏家)やdoctor(医者)のように語尾が-erや-orで終わる職業名は男女ともに使えるよ。

月刊ジュニアエラ 2018年4月号より

AERA dot.より転載