糖尿病患者向けの保険を提供するミニ保険業者の役員の内紛と粉飾決算が明るみに出た。その混乱は業界全体への底知れぬ不安となって波及しそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

「ミニ保険」とも呼ばれる少額短期保険業界「仮想通貨の次は少短か」。エクセルエイドの検査に入っている関東財務局からは、そんなため息が聞こえてきそうだ Photo by Masaki Nakamura

「孤独死保険」「痴漢冤罪保険」「婚礼参列者傷害保険」──。こうしたユニークな保険商品を数多く提供している少額短期保険業界。「ミニ保険」とも呼ばれる少短は、多様化する消費者のニーズをつかみ規模を急拡大中だが、4月18日、業界に激震が走った。

 糖尿病患者向けの医療保険などを販売するエクセルエイド少額短期保険が緊急の記者会見を開き、「保険金の一部に簿外処理があった」と明らかにしたのだ。

 さらに衝撃だったのは、同発表の1週間後、エクセルエイドの臨時株主総会が開かれ、決算の粉飾を公表した高島武彦社長(当時)が解任されたことだった。

 一部の社員が高島氏に同調して一斉に辞めるなど経営は大混乱。それを受けて、監督当局の関東財務局が臨株の翌日から検査に入っており、目下経営陣などへのヒアリングを続けている。

 一体何があったのか。高島氏側の主張はこうだ。

 2013年9月から14年1月にかけて、創業者で現会長の和田敏文氏が厳しい財務状況を踏まえ、娘婿であり当時副社長だった吉村信博氏に、自腹で保険金を支払うように強要。結果、吉村氏は112件合計1150万円の保険金を個人で支払った。

 会社のシステムを通さない簿外処理のため、決算書類上は1150万円の保険金を支払っていないことになっているという。

 耳を疑うような内容だが、その直後となる14年4月に吉村氏は社長に昇格。しかし、その1年後にはなぜか平取締役に“降格”しており、代わって高島氏が社長に就任している。

 それから3年もの間、一連の不正をひた隠しに隠していたことになるが、高島氏はなぜ今になって公表に踏み切ったのか。関係者の一人は「和田氏と高島氏は、経営方針などをめぐってかなり対立していた」と声を潜める。