今年4月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)と、新規事業開発の企画・実行支援に強みを持つamidus(アミダス)が戦略的業務提携を締結した。総合シンクタンクとしての知見と消費者に対する洞察力を武器に、多様化時代に適応した新たなコンサルティングサービスの共創を目指す。

MURC
イノベーション&インキュベーション室
渡邉藤晴 室長

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)は、バックキャスト型ビジョン策定、つまり技術の将来予測や人口減少による社会課題の変化、企業への影響の調査などを得意としている。ただし、実際の生活者や消費者がどのような考えを持ち、そこでどのような変化が起こるのか、ボトムアップ的な視点での予測が苦手だった。また最近のクライアントは、ビジュアルを含めて伝えやすさを重視するアウトプットを求めている。

 「そこで私たちは、その不足した二つの要素を取り込めれば、顧客サービスの向上が期待できると考え、生活者動向や消費動向の調査・研究、コンサルティングが可能なデザインファームとの連携を模索していたのです」。そう語るのは、MURCで事業戦略を提案するI&I(イノベーション&インキュベーション)室の渡邉藤晴室長である。

右脳と左脳の
化学変化(シナジー)

アミダス
熊本浩志 社長

 今回、そのMURCと業務提携を締結したのがアミダスだ。同社はデザイン家電などで知られるamadana(アマダナ)からスピンアウトした事業支援のスタートアップ企業で、これまで大和ハウスグループやKDDIなどで独創的な新規事業開発を手掛けてきた。

 アミダスの熊本浩志社長は、「一般的には、実際の商品やサービスをつくることが利益の源泉になりますが、最近はいきなりアウトプットではなく、プロセス自体をサービスとして提供する重要性を感じていました。右脳的な解決だけでなく、左脳的な理屈付けも必要。そのため私たちもコンサル会社のパートナーを探していたのです」と話す。

 両社はトライアルとして、大手消費材メーカーの「未来予測を踏まえた消費動向変化と戦略方針策定」プロジェクトを協業。生活者インサイトや消費行動変化について、アミダスから示唆に富んだアドバイスを受けることができたため、「他の案件でも化学反応(シナジー)が見込めると考え、包括協業先として具体的な話を進めたのです」(渡邉室長)。