教授動静【第5回】坂本龍一<br />キャリア初となる大規模な個展が韓国ソウル特別市で実現

 坂本龍一のキャリア初となる大規模な個展が韓国ソウル特別市で実現した。

『Ryuichi Sakamoto Exhibition: LIFE, LIFE』と銘打たれたこの個展は、坂本龍一が21世紀以降に力を入れてきたメディア・アート作品の代表作と、昨年発表されたオリジナル・アルバム『async』に関連した映像、インスタレーション、音響作品、そして1980年代から今日までの坂本龍一の歩みや表現を包括するような写真展や活動歴の紹介と多岐に渡る構成となっている。

 この大規模な展示を企画したのは韓国のGLINTという会社で、これまでに韓国でドイツのECMレコードに関連したエキシビションを開催したことで知られている。

 今回、そのGLINT社がソウルの会賢洞(フェヒョンドン)にある古い建物をリノベーションしてオープンさせた“Piknic”という新しいギャラリー〜アート・スペースのスタート・アップのイベントして『Ryuichi Sakamoto Exhibition: LIFE, LIFE』が行われることになった。

 会賢洞はソウルの繁華街である明洞、南大門の近く。Piknicは学校の校舎を思わせる地下1階、地上3階の大きな建物で、屋上のラウンジを含めた建物全体がエキシビションの会場となっている。

教授動静【第5回】坂本龍一<br />キャリア初となる大規模な個展が韓国ソウル特別市で実現

 この会場内で展示される主な作品は次の通り。

 まずは長年のコラボレーターである高谷史郎と共同制作したメディア・アート作品。『LIFE - fluid, invisible, inaudible...』(2009:高谷史郎とのコラボレーション)、『water state 1(水の様態1)』(2013:高谷史郎とのコラボレーション)など。

 そして昨年発表されたオリジナル・アルバム『async』に関した3アーティストの映像、インスタレーション作品。『async - surround』(2017:高谷史郎)、『async - volume』(2017:Zakkubalan)、『async - first light』(2017:アピチャッポン・ウィーラセタクン)。

 さらに、開催地である韓国にゆかりの展示。『電子の拓本 All Star Video』(1984:ナム・ジュン・パイク他)、『3つの流れの交わるところ Where the three flows intersect』(2018:Yoo Sung Jun)。

教授動静【第5回】坂本龍一<br />キャリア初となる大規模な個展が韓国ソウル特別市で実現

 前者は韓国が生んだ現代美術、メディア・アートのスーパースターであるナムジュン・パイクと坂本龍一らが組んだ日本におけるヴィデオ・アートの先駆的作品。

 後者は現代韓国のアーティストであるYoo Sung Junによる坂本龍一がかかわった映画作品などの映像をミックスしたオリジナル作品で、作品名は坂本龍一の自伝(韓国語版も出版されている)の一章のタイトルからというオマージュ的な一品となっている。

 そしてこの6月にヨーロッパでツアーを行なった、ドイツのアルヴァ・ノト(カールステン・ニコライ)との2005年のコラボレーション・ライヴの映像作品『insen』の上映や、坂本龍一がこれまで音楽を手がけてきた映画の紹介、さらにはドキュメンタリー映画『RYUICHI SAKAMOTO: CODA』(監督:スティーブン・ノムラ・シブル)のダイジェスト版などもある。