『週刊ダイヤモンド』4月14日号に反論してみたい。同誌では、新社会人向けに「日本経済」入門という特集をし、仕事に役立つ経済の「新常識」を掲載している。その中で、指摘されている「消費税増税で景気はよくなる」「円高は日本経済にプラスである」「デフレ脱却で景気は回復しない」「金融緩和でデフレは解決しない」などには、首を傾げざるを得ない。これらは「新常識」なのかどうか。

 常識を疑ってみるのはいい。ただ、そのためにはそれなりの覚悟と準備が必要だ。同誌の特集には編集部4名の氏名が書かれているが、その分担はわからない。常識を覆したいという「議論」だけを寄せ集めたものになっていると言わざるを得ない。

消費税増税は景気にマイナス

 まず「消費税増税で景気はよくなる」を読んでみよう。のっけから、消費税率を引き上げると景気が悪くなるというのは「思い込みにすぎない。消費税率を引き上げて財政再建を進めることで景気はむしろ上向くのである」と書かれている。

 その理由として、1997年4月の前回の消費税率引き上げ時の経済動向を例に出している。97年4~6月期はマイナスだったが、7~9期にプラスになっていることから「消費税率引き上げが景気の足を引っ張ったとは言い難い」と、何が原因だかわからず歯切れが悪い。

 ちなみに、掲げられている図は、1995年から2011年までになっており、虫眼鏡で見ても、文中で示された各年四半期の数字の動きはわからない。これだけで、この筆者がキチンと分析したものでなく、どこかから文と図を寄せ集めたものであることがわかる。しかも、文中の説明が日本だけのデータしかみていないから、説得力もない。