著者累計700万部突破のベストセラー作家で、新刊『大富豪からの手紙』著者、本田健さんと、シリーズ127万部突破の『伝え方が9割』著者、佐々木圭一さんのお2人による「ベストセラー対談」。それぞれの著書に込めた思いと、互いの著作の感想を語り合っていただきました!

「100万部のベストセラーは、どう生まれるのか?」<br />【本田健×佐々木圭一】

『大富豪からの手紙』に3年かかった理由

佐々木:たしか、『伝え方が9割 2』が世に出る前(2015年2月)、ダイヤモンド社の編集者である飯沼さんが、「本田健さんの本をつくっている」と話していたんです。でもその後、3年たっても書店に並ばないので、僕は勝手に、「もう、出ないのかな?」と思っていました(笑)。
 本田さんは、130冊以上の著作実績をお持ちですが、毎回、どの本でも、これほど多くの時間を執筆に費やしているのですか?

本田:いえ、今回は特別ですね。どちらかといえば、僕は書くのが早いほうなので、普通なら2週間~1ヵ月あれば、1冊、書くことができます。
でも、現在8万部突破の『大富豪からの手紙』は、「著者人生のナンバーワンをつくろう!」「代表作となる物語を書こう!」という強い思いがあったので、これまでの何倍も、何十倍も、時間と情熱を注いで執筆したんです。なので、原稿を手放すまでに「3年」かかりました。

 もともと1000ページ以上あった小説を、何度も何度も、推敲を加えながら356ページまで、そぎ落として、小樽のシーン、神戸のシーン、タイのバンコク&チェンマイ、ブータンのシーンも、それぞれもっと長かったのですけど、泣く泣く、カット、カット、カットをしました……(笑)。
 でも、編集者と一緒に、カットと推敲を積み重ねたからこそ、僕がもっとも伝えたいメッセージを凝縮、濃縮できたと思います。

自身初となる取材旅行を敢行し、リアリティを追求

「100万部のベストセラーは、どう生まれるのか?」<br />【本田健×佐々木圭一】 佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:https://www.facebook.com/keiichisasakitokyo
HP: www.ugokasu.co.jp

佐々木『大富豪からの手紙』では、主人公の佐藤敬(サトウ・ケイ)が「旅」をしながら人生の真実を見つけていく、という設定になっていて、「旅」がキーワードのひとつになっていますね。

本田:僕は、「旅は、もっとも手っ取り早く人生を動かす方法のひとつ」だと思っています。100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)も「ストーリー」形式のビジネス書ですが、「旅」の要素はありません。
そこで、今回は、主人公の青年が、「偶然を追いかける旅」をしながら成長する「小説」を書こうと考えたんです。
そして、「ビジネス書」で100万部を超えるようなベストセラーを目指そうと思ったら、やっぱり「ストーリー」を取り入れた「ビジネス小説」の形にしないといけないと思ったのです。

佐々木:実際に、本の舞台となった、タイのバンコク&チェンマイ、ブータンに、編集者と2人で行かれたそうですね。どのシーンも、状況描写、情景描写がリアルで、ディテールにも踏み込んであって、「あ、これはもう、インターネットで調べただけでは絶対に書けない」「現地に行った人でないと、この表現はできない」と思いました。

本田:本を書くために「取材旅行」に出たのは、今回がはじめてなんです。
主人公の青年は、旅をしながら、いろいろなことを感じ、気づき、焦り、考えたりするわけですよね。バンコクのベンチに座りながら、敬は、何を考えたのか。どんな気持ちになったのか。それを知るには、僕自身、ベンチに座ってみる必要があった。
仮に、20歳のころの本田健が、敬と同じ立場でこのベンチに座ったら、何を感じるのか。それを想像し、敬の言葉として本の中に落とし込んでいく作業にも、かなり時間がかかりましたね。