質問型営業本がシリーズ10万部のベストセラー。今回は、日本での凱旋講演を前に、『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』より、営業における誰も教えてくれなかったエッセンスのみを抽出し、最強フレーズを紹介していきます。今回は、フレーズ2です。

お客様から話をしてもらうことで、話の展開がよくなる

 自分から訪ねて行って「私どものことはご存じですか?」という質問は、おかしいよう
に思うかもしれません。ところが、意外に効果があるのです。

 アプローチで重要なことは、お客様の注意を引きつけることです。そのためには、こち
らを向いてもらう必要があります。そこで多くの営業マンは、自社の商品がいかにお客様
のお役に立つかについて話そうとするのです。

 これでは売り込みにしか聞こえません。

「私どもの商品についてご紹介をしようと思い、訪問しました。こちらは……」とでも話をしようものなら、「宣伝!?」と思われ、お客様はとたんに心のシャッターを閉めてしまいます。

 また、「お仕事の状況はどうですか?」などと言いながら、お客様との会話に持ち込もうとすると「要件は何?」「何をしに来たの?」と言われてしまい、やはり自社商品を紹介する状況に追い込まれます。

 そこで、「私どものことはご存じですか?」という質問を使うのです。

〈知っている場合〉
営業マン: 「私どものことはご存じですか?」
お客様:「知っているよ」
営業マン:「ありがとうございます。どんなイメージですか?」
お客様:「いろいろ宣伝をしているね」
営業マン:「そうなんです。覚えていただいてありがとうございます。宣伝から何か感じられることはありますか?」
〈知られていない場合〉
営業マン:「私どものことはご存じですか?」
お客様:「知らないね」
営業マン:「そうですか。○○を提供しているのですが。ご自身の保障については何か考えられていますか?」
お客様:「まー多少ね」
営業マン:「そうですよね。たとえば、どういうことを考えておられますか?」

「私どものことはご存じですか?」という質問によって、お客様が当社のことをどれぐらい知っているか、どんな風に思っているかがわかります。

 お客様が知らない場合は、「○○を提供しているのですが」と素早く切り返せば、自分たちのやっていることをわかってもらえます。ここから、お客様にアプローチすればいいのです。

 また、この質問によって、お客様にすぐに話してもらうことができます。お客様が嫌がるのは、自分自身が欲してもいない商品の宣伝を受けることです。お客様が何も言っていないのに、勝手に説明を始める営業ではいけません。

 質問によってお客様の状況を聞かせてもらえるこの質問は、効果的です。ただ、質問をしてもお客様が無反応のときもあります。その場合も示しておきましょう。

営業マン:「私どものことはご存じですか?」
お客様:「知らないね」
営業マン:「そうですか。○○を提供しているのですが。□□については何か考えられていますか?」
お客様:「別に(何も考えていないよ)」
営業マン:「では、今はどのようなことをお考えですか?」
お客様:「ま、しいていえば……」
営業マン:「なるほど。そうなんですね。それはどのようなことですか?」
お客様:「それはだね……」
営業マン:「なるほど。そういうことですね。実は、私どもの○○はその方向にも役立つものなんです。といいますのは……」

 お客様から話をしてもらえば、それにしっかりと共感して、話を展開すればいいのです。

 質問を優先して会話をすると、お客様のニーズや欲求を引き出すチャンスが出てきます。

 これは、自社の商品(サービス)に対するお客様が見込み客かを判断するうえでも非常に良い方法です。