ヴィア・ホールディングス会長 横川紀夫
撮影:住友一俊

 主力の居酒屋業態は、まだまだ差別化が不十分。料理もそうだが、立地、店のサイズなどみんな似ている。新しいスタイルにどう変えていくのか、知恵の勝負だ。

 かつてファミリーレストランが外食業界に革新を起こしたように、新しい業態を確立するために手を打っていく必要がある。私は若い頃、すかいらーくの創業メンバーとしていろいろな業態開発の経験を積んだ。その経験を生かしたい。

 4月1日に業績が低迷する店を再生させる別会社をつくった。再生ノウハウをためる狙いもあるが、ここで幹部に経験を積んでもらう。今後、同業他社をM&Aした場合には新たな経営幹部としてその会社で活躍してもらいたい。

 ただ、今はよほどよい条件でなければ新たなM&Aはしないつもりだ。2006年頃は積極的にグループ拡大を行なってきたが、現在は傘下に収めた各社を磨く時期だととらえている。

 また、規模は大き過ぎないほうがいいと思っている。外食業は店頭でのきめ細かい施策が重要。その意味で、一定の規模を超えればスケールデメリットになる可能性もある。経営層と現場の距離が離れ過ぎないように気をつけている。

 外食業界を取り巻く環境は依然として厳しいが、むしろチャンスと考えたい。

 外食企業の三大コストは人件費と原材料費、家賃だ。不景気で優秀な人材を低コストで採用できているし、原材料費も下がっている。家賃もよい立地の物件を安く手に入れることができる。コスト面ではプラスだ。(談)

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)