優秀なエリートには共通点がある。彼らは「真面目に、我慢して、一生懸命」ではなく、「ラクして速く」をモットーに、効率よく結果を出し続けている。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。24年間で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6000人を超えるリーダー・幹部社員を選出してきた松本利明氏の新刊、『「ラクして速い」が一番すごい』から、内容の一部を特別公開する(構成:中村明博)

「一生懸命やりましたが、目標未達です」病は、こう治す!

細かな「作業」を指示してはいけない!

 仕事上司やリーダーでなくても、後輩やプロジェクトメンバー、仕入先などに仕事を依頼することがありますが、5W2H(なぜ、いつ、どこで、誰が、何を、どうやって、いくらで)で依頼内容を確認しているかもしれません。

 しかし、5W2Hで仕事の依頼がすむのは、仕事内容の理解と達成方法があなたと同じレベルかそれ以上の場合だけです。

 あなたの当たり前と、部下・後輩の当たり前は違います。

 では、どんな指示が最適なのでしょうか。これにはちょっとしたコツがあります。アウトプットを示したうえで、具体的な「How(どうやるか?)」を伝えるのです。

「How(どうやるか?)」はどうすればうまくいくかという「作戦」でもあります。ただ実際は「What(何を?)」を細かく指示しがち。具体的な作業が頭に浮かぶためです。しかし指示だと、相手の解釈次第で失敗することもあります。

 下記の「市のイベントで集客するケース」を見てください。指示の出し方で、ダメなところはどこでしょうか?

あなた「あと1週間で、参加者を20人集めなくてはいけないね」
相 手「イベントの集客は初めてなんです。どうしたらいいでしょうか?」
あなた「最低でも1日5軒は自宅訪問して、参加を呼びかけてみよう」
相 手「なるほど。では、自宅訪問するにはどうすればいいでしょうか?」
あなた「1日30軒は電話をかけて、アポをとらないと厳しいね」
相 手「30軒も!それは結構大変ですね」
あなた「そのためにはリストを毎日50軒は用意してね。留守の人もいるから」

 一見、あなたは相手に「1日30軒電話する」「50軒の電話先リストを用意する」と「How(どうやるか)」をていねいに示しているように見えます。

 でも、どうでしょう。相手は結果を出せそうでしょうか?

相 手「一生懸命、毎日50軒のリストをつくって30軒電話しましたが、1日平均4軒のアポしかとれませんでした。結果、集客は15名でした」

 一生懸命言われた作業をやり、あとはガッツと根性で運に任せる状態です。これでは運よく目標達成をしても、「件数をこなす」ことが目的になっているので、「ダメなら数を増やす」というプランしか描けません。

 あなたの指示のどこが悪かったのでしょうか?