新築マンションで「最も割安な住戸」を見つける4つの戦略的視点とはコスパがよく倍率が高い住戸は、手に入れるのが難しいもの。他人と違う視点を持ち、新築マンションで最も割安な住居を見つけられる法則とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 筆者が最初に申し込んだ新築マンションは、48倍の倍率がついた。1996年、消費税率改定前の駆け込み需要が凄かったときだ。マンションの抽選会の会場では、倍率の低い住戸から抽選を行っており、場内は熱気を帯びていた。この48倍の住戸は案の定、一番最後の抽選になった。もちろん、あっけなく散った。待っていた時間からすると、哀しい結末だった。

 そのとき、筆者は2つのことを知った。1つは倍率が高い住戸は多くの人がコスパがいいと判断していること、そうした住戸は買える可能性が低くなるということだ。その意味で、自分の眼力は間違いないと思うと同時に、他人と違う視点を持たないといつまで経ってもよい物件を買えないという現実を思い知った。

 そのためにはどんな視点を持てばいいのか。必要なことは、「売り手側」の都合を知ることである。

初月の倍率は0.7倍程度
新築発売時の売り手の都合とは

 現在は、当時のような倍率でマンションが販売されることはまずない。たとえば、新築マンションの売れ行きを表わす「初月契約率」(売り出した月に契約になる割合)は、ここ数年、70%前後で推移している。この70%という数字は、実際の売れ行きを端的に表わしていない。なぜなら、買い手がほぼ特定されている売れそうな住戸だけを売り出す方法を、デベロッパーが採用しているからだ。

 その結果として、倍率がほぼ1倍になるように売り出し戸数を制御している。倍率がつきそうだと顧客を倍率がつかない同様の住戸に振って、買ってもらえるように誘導している。つまり、均すと初月の倍率は0.7倍で、その後の1~2ヵ月でほぼ売り切っているのが実態になる。

 ここから分かる戦略の第一は、「第1期が最もコスパが高い」ということだ。これを逃す手はない。