「アゴを合わせるだけで、相手の信頼を勝ち取ることができる――」

アゴ合わせやオウム返しなど、シンプルだけど驚くほどコミュニケーションに効くスキルを紹介した、『「聞くだけ」会話術』(松橋良紀著)。中でも問い合わせが多かったのが、「アゴを合わせるだけで本当に大丈夫なのか?」という質問。4/25に行われた出版記念セミナーでも、一番注目が集まりました。でも一方で、実はそれと同じくらい「アゴを合わせるだけで、うまくいきました!」というお手紙もいただいています。

今回の【特別インタビュー】では、「アゴ」という松橋氏のスキルの肝について、大盛況だったセミナーの後、詳しく聞いてみました。コミュニケーションに悩む人必見のスキル解説講座、開講です!(聞き手:山根洋士)

トークを磨いても売れない……。
借金生活の中で見つけた「一筋の光」

――いきなり失礼な質問ですいません。先ほどのセミナーを聞いても、『「聞くだけ」会話術』を読んでも、「アゴを合わせればモノが売れる」という印象を受けます。にわかには信じられない魔法のような話なのですが?

松橋 これが売れるんです(苦笑)。

 そもそも、僕自身がまったく売れない営業マンでした。当時、30数万円の掃除機を売る仕事をしていました。そう言うと、怪しい商売と思われるかもしれませんが、掃除機そのものはアメリカ製の業務用で、吸引力は市販のものとは比べ物にならないくらい抜群。きちんと売っている営業マンはいたし、買ってくれたお客さんからは、今までとれなかった絨毯のゴミがとれて嬉しいといった、お礼の声もたくさんいただいていました。

 それでも僕は売れない。固定給プラス歩合制だったので、売れないと生活はカツカツで、借金も簡単には返せないくらいの額になっていました。

――絶望的な状況だったわけですね。それが、アゴを合わせて売れるようになったのでしょうか?

松橋 あまりにも売れなかったので、もう他の仕事をしようと思っていました。僕は青森出身なんですが、上京した頃に一度からかわれてからは、方言がコンプレックスになってしまって、人とうまくしゃべれなくなってしまったんです。他にも、営業の仕事を通じて、僕と同じように売れなくて心を病んでいく同僚も見てきました。

 そういう人間関係や仕事の悩みを抱えている人の助けになりたいと思って、カウンセラーに転身しようと決意。それでNLPの講座を受講したのです。