高校野球監督のイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

高校野球と無縁な筆者
監督の人選から一癖も二癖も

『甲子園に挑んだ監督たち』書影『甲子園に挑んだ監督たち』 八木澤高明著 辰巳出版 1728円(税込)

 今年の全国高校野球選手権大会は100回の記念大会ということもあり、開幕前から例年以上にメディアで特集が組まれ、書店には関連本が所狭しと並んだ。

 本書『甲子園に挑んだ監督たち』もその一冊と言えるが、異色の存在だろう。著者はそもそもスポーツライターではない。色街や世界の辺境を取材してきた(前作は『ストリップの帝王』、9月刊行予定の次作は『江戸・東京色街入門』)。高校野球とは無縁な作品ばかりを世に出し続けてきた著者が甲子園の監督を切り取ったらどのように描くのか。

 取り上げる監督の人選からして一癖も二癖もある。古屋文雄、小池啓之、大井道夫など8人。アラフォーくらいまでの世代からすると、よほどの高校野球好き以外は「だれ、それ?」って感じがぬぐえないだろう。木内幸男(元取手二、元常総学院)も中村順司(元PL学園)も渡辺元智(元横浜)も出てこない(1978年にPLを初優勝に導いた山本泰を取り上げているが、著者の実家の裏、徒歩一分の場所に住んでいた側面が大きいかもしれない。取材もピンポンを押して頼みに行っている)。