社会風俗・民俗、放浪芸に造詣が深い、朝日新聞編集委員の小泉信一が、正統な歴史書に出てこない昭和史を大衆の視点からひもとく。今回は「キャバクラ」。1980年代はじめに到来した「女子大生ブーム」。これに呼応するかのように、夜の世界を席巻したのがキャバクラだった。男の心理を見事に見抜いた商売だった。

「キャバクラ」とは何か。風俗ビジネスの開業の仕方や運営のノウハウに関する実用書を読んでいたら、「接待飲食営業という分野に属する」とあった。営業形態としてはそうなのかもしれないが、多くの男たちを魅了する「夜の世界の華」「不夜城」と言った方が分かりやすいだろう。人気の理由について、同書はこんな風に説明していた。

<ホステスは水商売未経験のアルバイトが多く、接客が素人っぽいこと>

 これだけだと、かつて本欄で紹介したアルバイトサロン(通称アルサロ)と変わらないではないか。

「いやいや、キャバクラはね、もっとゴージャスなんだよ。ボリューム感のある髪形が特徴でね……」

 今も昔もキャバクラに通い続けている知人が、熱心に持論を聞かせてくれた。

 それでもまだよく分からない。「キャバクラ」という言葉の語源から考察してみよう。