停電のため警察官が手信号で交通整理6日未明、札幌市内では停電のため、警察官が手信号で交通整理していた Photo:AP/AFLO

9月6日午前3時過ぎ、北海道厚真町で「震度7」を観測した。震度7について、気象庁は「立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある」と定義しており、観測されたのは2016年の熊本地震以来で6回目。ちなみに震度階級関連解説表では震度7が最高で、それを超える「震度8」は存在しない。気象庁が想定し得る最大の揺れだったということだ。気象庁は「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」と命名した。北海道すべての約295万戸が停電するという異常事態になり、7日正午頃までに半数近くが復旧したが、全域の復旧には少なくとも1週間かかる見通しで、市民生活には深刻な影響が出ている。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

ススキノのネオン沈黙

 北海道警の発表などによると、大規模な土砂崩れや家屋倒壊などの甚大な被害が出ている。政府や北海道警などによると、7日正午頃までに16人の死亡が確認され(7日夕方には、官房長官が死者9人と心肺停止7人と訂正)には、26人の安否が依然として不明。負傷者は360人以上に上った。いずれも増えるとみられる。

 札幌市に単身赴任していた40代の団体職員男性が地震発生時の恐怖を語った。

「ドン」という地面からから響くような音とともに、突き上げるような大きな衝撃でベッドから跳ね飛ばされた。揺れはしばらく続き、ようやく立ち上がろうとしても、部屋は漆黒の闇で思うように動けない。

 スマートフォンの明かりを頼りにテレビのスイッチを入れようとするが、停電でつかない。数分後、マンションの予備電源で明かりは付いた。テレビやスマホの災害情報でようやく、厚真町で震度6強(後に震度7と修正)の揺れがあったと知る。窓を開けてベランダに出て、左側に視線を移すと、いつもはネオンでまばゆいほど明るいススキノ方面が真っ暗だった。

 日が昇り明るくなった頃、マンション向かいのコンビニには長蛇の列ができていたという。

 北海道は地震が多い地域で、大規模な地震も多発している。