リーマンショックから10年が経過した。そこで今回は、リーマンショックの歴史に学ぶこととする。といっても全部を網羅するわけにはいかないので、筆者の気になるポイントを選んで考えてみたい。

サブプライムローン焦げ付きの影響が
連鎖的に波及して起きた金融危機

かつてのリーマン・ブラザース本社Photo by David Shankbone

 リーマンショックの結果、日本の株価も暴落した。「米国の低所得者層が住宅ローンを踏み倒したからといって、日本の株が下がるはずがない」と考えていた人も多かっただろうが、なぜ暴落してしまったのだろうか。その経緯を説明しよう。

 リーマンショックの遠因は、「サブプライムローンの焦げ付き」だ。米国の住宅バブルの際に米国の銀行が、信用力の低い借り手に高い手数料で貸し出していたのがサブプライムローンであり、それが住宅バブル崩壊によって焦げ付き、銀行が大きな損を抱えたのだ。そして、「証券化」という取引によって、銀行の住宅ローン債権を事実上保有していたのがリーマン・ブラザーズをはじめとする投資銀行などだった。

 リーマン・ブラザーズが倒産すると、「次はどこだ」と金融機関同士に疑心暗鬼が生じ、資金が大規模に回収された。そこで、資金を回収されて資金不足になった金融機関は、顧客への貸し出しを回収せざるを得なくなった。これが、いわゆる「貸しはがし」や「貸し渋り」だ。それにより中小企業が倒産するなど、景気が悪化した。