日本史のおもしろさは、ずばり「人」にあります。
何か「すごい」ことを成しとげた人は、歴史に名前が残ります。でも「すごい」だけの人なんて、この世にひとりもいません。むしろ、ものすごい失敗をしたり、へんな行動をしたりして、まわりから「やばい」と思われているような人が、誰にもできない偉業をやってのけていることもあります。だって、人生は長いのです。いい日も悪い日もあるし、年とともに変化だってあります。いろんなことを考え、行動し、ときに失敗し、そこから学び、たまに成功する。カッコいい一面もあれば、ダサい弱点もある。
だからこそ、人はおもしろいのです!
「すごい」と「やばい」の二面から、日本史の人物の魅力に迫る『東大教授がおしえる やばい日本史』から、今回特別に内容を一部お届けします。

すごい坂本龍馬 驚異のコミュ力で明治時代幕開けのきっかけを作る

「日本を今一度せんたくいたし申候」
(汚れた日本を、もう一度洗濯してキレイにいたします)
 という名言で知られる坂本龍馬。頭のカタい武士たちを転がす才能がピカイチで、歴史を大きく動かしました。

 26才のとき、龍馬はアメリカ帰りの幕臣の勝海舟から「刀で人を切っても意味ないぜ。これからの時代、黒船を持ってるヤツが強えんだ」と言われて「カッコいいぜよ!」と感動。海舟の海軍操練所に入って黒船で海をわたる技術を身につけました。

 次に龍馬は、薩摩藩(鹿児島)の助けを受けて「亀山社中」という日本初の商社をつくり、海外との貿易をはじめます。そして、長州藩(山口)にこうもちかけたのです。
 「わしがイギリスから買い付けた武器を薩摩から長州に送るから、かわりに長州から薩摩に足りない米を送るぜよ。薩長が仲良くなれば倒幕できるぜよ!」

 じつは、この提案には深い意味があります。薩摩藩と長州藩は、ともに徳川幕府を倒したいと思っていました。しかし、以前幕府の命令で薩摩が長州を攻めたことがあったため、この2藩はめちゃくちゃ仲が悪かったのです。

 そこで龍馬のコミュ力が炸裂!薩摩藩代表・西郷隆盛と長州藩代表・桂小五郎の間をとりもち、ものの見事に「薩長同盟」を成立させてしまいました。

 この同盟によって倒幕派は一気にパワーアップし、幕府から天皇へ政権を返させる「大政奉還」に成功します。そして、ついに明治時代が始まったのです!

坂本龍馬がどうしても止められなかった「やばい悪癖」とは?「やばい」から日本の歴史が見えてくる!