「大人の脳は成長しない」はウソ!?脳が衰える人、成長を続ける人の違いとは?26万部突破のベストセラーシリーズ著者にして、イェール大で学んだ米国医師が明かす「エイジング研究」の最前線とは? 最新刊『脳が老いない世界一シンプルな方法』の本文から一部抜粋してお送りする。

疲労・ストレスが続くと、20・30代の脳でも「老化」がはじまる「アメリカに住む祖母がシニアハウスに入った」という知らせを受け取ったミワ(35)は米国に飛んだ。変わり果てた祖母の姿を見た瞬間、彼女は自分が「老いへの恐怖」にとらわれていることに気づかされる。そこに突然姿を現したのは、同じシニアハウスに住む謎めいた老人、スコットだった――。
※ストーリーの背景となる「老いの科学(エイジング・サイエンス)」については下記参照。
[第1回]
なぜ、身体が30代の若さなのに、脳が50代レベルに「老化」した人がいるのか?
https://diamond.jp/articles/-/180503

「20代のころより集中できなくなった」と感じる理由

「細胞の老化を防いでくれて、若々しい外見と健康な身体を与えてくれる『テロメア』か……。そんな夢みたいな秘密が、私たちの染色体の端っこに隠されていたなんて……なんだか感動したわ」
これは本心だった。適当に話を合わせておこうという当初の気持ちは、もはやなくなっている。

「うむ。この『長寿遺伝子』は不老不死という人類の悲願にもつながる可能性を秘めた大発見なんじゃ。ところで……ミワはさっきから『身体』の老いばかりを心配しているようじゃが、こっちはどうじゃ?」
そう言って彼はツンツンと頭を指差した。
「の、脳みその老化……ってこと?」