弱者の味方であり、法の番人であるはずの弁護士が、違法性の高い行為をして多重債務者を食い物にし、私腹を肥やしている――。こんな信じられないような話が、実証されるかもしれない。本連載第1回では、過払い金返還請求に絡んだ非弁行為や非弁提携について触れた。今回は、その具体的な事例と業界内の動きが明らかになったため、詳細をレポートする。弁護士界に対しては、極めて重い現実が突きつけられた格好だ。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

アイフルが懲戒請求を提出
多重債務者を陥れるスキーム

 5月7日、消費者金融大手のアイフルが東京第一弁護士会(一弁)に対し、同会所属の弁護士が弁護士法27条「非弁護士との提携の禁止」、弁護士職務基本規定第11条「非弁護士との提携」に違反している疑いが強いとして、懲戒処分の請求を行ったことが分かった。この件に関して一弁は、「詳細については、いっさい答えられない」としている。

 懲戒処分請求の対象としている弁護士は森田倩弘弁護士。ところがなんと森田弁護士はすでに死去しており、2012年1月8日に弁護士登録を抹消していることから、手続きを先に進めることができないという理由で、一弁はアイフルからの懲戒請求を受け取らなかった。しかし、一弁はアイフルが提出した請求内容を重く見て、懲戒請求こそできないものの、事実関係を調査する方向だという。

 森田法律事務所の事務員は「業務内容については、詳しいことはわからない。懲戒請求の動きについては初めて知った」と話す。森田法律事務所は6月中に閉鎖する予定だという。