東京証券取引所の近くで約70年続いた兜町の老舗うなぎ屋「松よし」(写真左)は今年12月末で閉店。約50年前に竣工した東京証券会館にあった日本証券業協会は10月末、茅場町から日本橋へ移転した東京証券取引所の近くで約70年続いた兜町の老舗うなぎ屋「松よし」(写真左)は今年12月末で閉店。約50年前に竣工した東京証券会館にあった日本証券業協会は10月末、茅場町から日本橋へ移転した Photo by Hiroki Matsumoto

 戦後の証券史を見続けてきた店が、ついに暖簾を下ろす。

 東京証券取引所がある兜町は、証券の街として知られている。その一角にあるうなぎ屋「松よし」は多くの証券マンに愛された老舗だ。創業は東京証券取引所が戦後に再開したのと同じ1949年。「株価のうなぎ登り」のゲン担ぎもあって、かつては多くの証券マン達で賑わった。しかし、町の衰退に伴って今年12月末、約70年にわたって営業してきた店を閉じることを決めた。

 証券の街からなくなるのは「松よし」だけではない。

 兜町に隣接する茅場町は、日本証券業協会が入居する東京証券会館の他、多くの証券会社が本社を置いてきた場所だ。

 だが、日本証券業協会は10月29日、建物の老朽化に伴い、日本橋に移転。その移転場所については「どれだけ遠くても兜町・茅場町の中心地から1キロメートル以内でと考えた」(鈴木茂晴・日本証券業協会長)というものの、証券の街から出ていったことに変わりはない。