アリババのジャック・マー会長アリババのジャック・マー会長は、30歳頃まで決して順調な人生を歩んできたわけではなかったようです Photo:AFP/AFLO

時価総額40兆円超、社員数6万人……。まさに中国だけではなく世界を代表する企業となったアリババ・グループ。テクノロジーを駆使して、中国の小売業や金融業のビジネスモデルを根底から覆し、圧倒的な成長を遂げています。まさにイノベーションを体現した世界的企業といえますが、その経営者であるジャック・マーは、30歳半ばでアリババを起業し、その人生は失敗の連続であったと語っています。イノベーションが不得意といわれる日本企業は、中国のアリババと何が違うのか。『人事こそ最強の経営戦略』の著者であり人事戦略コンサルティングの第一人者・南和気氏が、人事が事業を支える企業を紹介していきます。今回はアリババ・グループを取り上げます。

変化し続ける巨大企業を生んだ
ジャック・マーという人物

 アリババは中国最大の時価総額を誇る企業であり、インターネットを通じた小売りサービスや金融サービスを主たる事業としています。このアリババを率いてきたのが、ジャック・マーです。

 現代のシリコンバレーを中心とした米国のインターネット企業の経営者の多くが一流大学を卒業し、若いうちから起業して成功を収めていることに比べると、ジャック・マーの経歴は非常に風変わりと言えるかもしれません。

 彼はアリババを起業するまで、大学受験に2度失敗し、ようやく進学した大学を卒業後、5年間英語の教鞭をとります。教師の仕事はジャック・マーにとってその才能を発揮する場となり、人気の講師となりますが、その仕事を辞して自らの可能性にかけるべく起業の道へと進みます。

 しかし、翻訳会社やWebサイトの構築会社といった会社を起業し、どちらも非常に厳しい経営状態に追い込まれます。アリババを起業したのは彼が34歳のとき、1999年のことでした。すでに中国には、多くの海外インターネット企業も進出しており、起業から間もない2001年ごろには、インターネットバブルがはじけ、すぐに冬の時代がやってきました。つまり、必ずしも順風満帆とはいえない環境の中でジャック・マーの戦いは始まったと言えます。

 2018年1月のダボス会議でジャック・マーはこのような話をしました。

“30歳まで、ずっと落ちこぼれだったのですが、諦めることだけはしませんでした。機会があると思っていたのです”

 逆境と失敗の中で、挑戦と実行を貫いてきたジャックの考え方には、日本企業が渇望しているイノベーションのヒントがあります。