トヨタ自動車が長年培ってきたブランドの信頼性は、今や地に堕ちつつあると言っても過言ではない。昨年から今年にかけて発生した大規模なリコールは、消費者にトヨタ製品の安全性を疑わせるのに十分な“有事”であった。果たして一連の騒動は、ドライバーの「トヨタ離れ」を引き起こすきっかけとなるのだろうか? そして、トヨタ車は本当に危険なのだろうか? 今回のリコール問題に関して、ユーザーの声を分析してみたい。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

初動の対応は万全だったか?
トヨタ大規模リコールの顛末

 連日のようにメディアを賑わしているトヨタ車のリコール(回収・無償修理)問題。騒動の震源地となった米国に豊田章男社長が自ら赴き、米議会の公聴会に出席する事態に発展した。トヨタはいったいどうなってしまうのか?

 まずは、今回のリコール問題に関する一連の流れをおさらいしておく。事の起こりは昨夏、米カリフォルニア州で発生した、乗員4名が死亡する事故だった。トヨタ自動車の「レクサス」が、突然暴走したのだという。

 トヨタはその原因を、「フロアマットが二重に敷かれたことによる誤作動である」とし、メーカー責任を否定した。だが、実際にはこの2年前から同社の製品でアクセルペダルの不具合が報告されていたにもかかわらず、リコール措置を採らずにやり過ごした経緯が明るみに出る。

 がぜん、企業倫理を問う報道が増えるに連れ、自社の責任を否定したまま、トヨタは昨秋米国内で販売した乗用車8車種・約426万台を対象に、ペダルの無償交換を開始した。事実上のリコールである。

 さらに今年1月に入ってから、追加で約230万台を対象としたリコールが発表されたことで、騒動はヨーロッパや中国にまで飛び火する形となった。

 トヨタの社内調査により、摩耗によってアクセルペダルの稼働に支障をきたすという、物理的な不具合が確認されたことからしても、リコールはメーカーとして当然の義務とも言える。

 問題は、初動の段階で「リコール隠し」があったのではないかという疑念と、欠陥があまりにも大規模に及ぶことから生じる技術力への懸念などが、想像以上に根強いことだ。メディアを通して、連日トップメーカーには相応しくないネガティブ・キャンペーンが展開されている。